【解説】模擬店火事 油の過加熱が原因《北大祭》 消防「出店者は火の特性の理解を」

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初期消火の様子

第60回北大祭期間中の6月1日に発生した模擬店での火事について、札幌市消防局は天ぷら油の過加熱による発火が原因と判定した。

火事は1日午後2時15分ごろ、1年生が運営する揚げ物店から発生した。火は店番をしていた学生により消し止められ、テントの一部を焼失したものの、周囲への延焼は防がれた。けが人も出ていない。

今回の火事は天ぷら油の過加熱により発生したとみられる。天ぷら油は通常、370度から380度に達すると発火する性質を持つ。発火前の300度前後では煙が発生し、加熱されすぎている合図となる。今回はその合図が見逃された事になる。また、テントと油の入った鍋の距離が十分でなく発火後、テントに燃え移った。

どうすれば今回のような火事を防げるか。消防によると、重要なのは火事を発生させうる物の特性を理解する事と、当日の念入りなチェックだという。油に限らず、ガソリンへの引火や投光器から可燃物への引火など祭りには危険が潜在する。中でも特に注意が必要なのはガソリンで、蒸発し空気中に滞留しやすい性質を持ち、引火が起こりやすい。消防は「出店する学生さんには火の特性を理解し、怖さを知ってもらいたい」と呼びかける。今後、北大祭事務局と連携し、火の取り扱いの指導や、出店者が記入する「チェック表」の周知徹底などを行っていく。

北大祭「指定催し」に準ずる扱いへ

今回の火事を受け、北消防署は北大祭を「指定催し」(※)に準ずる扱いとする方針だ。火災予防業務計画の策定や防火担当者の設置が新たに行われる見通し。防火担当者の数などは今後、北大祭事務局と協議する。今まで以上に安全対策を進める考えだ。

※指定催し…火災予防条例で定められる大規模(1日当たり10万人以上の人出などの条件)な催しで、指定されると防火担当者の設置や火災予防業務計画の策定が主催者に求められる。札幌市では「北海道神宮例祭(札幌まつり)」や「すすきの祭り」などが対象に想定されている。

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