災害復旧のあり方を考える 厚真、安平の職員、住民らが本学でシンポジウム

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「はやきた子ども園」園長の井内聖さん

昨年9月に発生した胆振東部地震の経験を踏まえ災害時の対応を話し合うシンポジウム「これからの防災を考える」(本学公共政策大学院院生協議会主催)が16日、人文・社会科学総合教育研究棟(文系棟)で開催された。被害の大きかった安平、厚真両町の職員や子ども園園長、住民らが当時の経験を語り、今後大きな災害があった際の災害復旧のあり方について提言した。

ボランティアセンターでICT活用―子ども園園長、井内聖さん

安平町にある「はやきた子ども園」園長の井内聖さんは地震発生後、SNSを活用して保育士のボランティアを募集したほか、町の災害ボランティアセンター開設にも携わった。子どもを預かるという責任と覚悟から園を開き続けるために保育士のボランティアをSNSで募集。遠いところは沖縄から保育士を受け入れた。ボランティアセンター開設に先んじて取り組んでいたため、町や社会福祉協議会と連携し、センター開設にも尽力した。

センターでは、園で導入していたICT(情報通信技術)システムを活用した。ウェブ上でできるアンケートシステムを用いてボランティアらに資格やボランティア経験などを入力してもらったり、当日の受付をウェブで行ったりした。これにより必要な人を必要な現場に効率的に送り込むことができたという。井内さんは「災害復旧はスピード勝負。(ボランティアと現場の)マッチングがポイントになる」と指摘する。

また、今回の経験をふまえ今後への提言として「行政のみならず民間企業なども共同して支えあうことが重要。インターネットを活用して地域外の人とも連携していけば良いのではないか」と述べた。

職員のマンパワー不足―厚真町職員、森田綾さん

支援物資の管理に従事した厚真町職員の森田綾さんは災害対応にあたる職員のマンパワー不足を指摘した。厚真町では地震発生から4日間、職員は災害対策本部で睡眠時間ほぼなしで対応にあたった。その後も災害対策本部での業務に加え罹災証明の発行などの通常業務で、職員は忙殺されていたという。森田さん自身も自宅が全壊の判定を受けたが実際に家を確認できたのは地震発生から一週間経ってからだった。

このような事態を改善するため森田さんは①他の自治体からの職員の派遣②物流などに民間の力を借りる③避難所運営を民間が主導―を提言した。

また支援物資について「いただけることは本当にありがたい」としながらも今回の経験から望ましいあり方を示した。「ライフライン復旧までは、水、食料を中心にどんなものでも確認なしで送ってほしい。復旧後から避難所閉鎖までは行政の発信する情報を確認するなどした上で送ってほしい」とした。

加えて、災害時に自治体間で融通できる資材や機材のデータベースを構築することも提案した。

スマホでボラ依頼できるシステムを―厚真町住民、樋口将士さん

ボランティアの支援を受ける住民の立場として厚真町の樋口将士さんは「住民がボランティアをスマートフォンなどで依頼するシステムを作ってほしい」と話した。今回の地震では、ボランティアセンターへの依頼は電話を通すことなどで行われたが、落ち着いて依頼内容を正確に伝えることは難しいという。また樋口さんは当時、「ボランティアに何をお願いできるのだろう」と迷っていたといい、「ウェブ上のシステムで他の住民の依頼内容を知ることができれば、住民にとっても便利で、ボランティアに参加するか迷っている人のハードルも下げられる」と話した。