広がるクラウドファンディング 博物館、部活・サークル、研究者

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インターネット上で不特定多数の人に寄付を募るクラウドファンディング(CF)の取り組みが本学で広がっている。博物館が新たな展示を設けるためにCFを活用したり、部活やサークルが活動に必要な施設・物品の費用を募ったりしているほか、研究者が他の手段で賄えない資金を募集した。幅広く活用できるCFが今後も活発に行われそうだ。

◇博物館

本学総合博物館は、100万分の1スケールの地球断面図を展示するためのCFを過去に実施している。

本学総合博物館では2016年に耐震改修が行われたが、それによる資金不足のため、地球断面図の展示ができずにいた。そこで総合博物館の山本順司准教授はCFを実施した。今までCFに挑戦した人は学内にいたものの成功者がいなかったため「失敗したらどうするの」と反対する声もあったが「CFのイメージを変えたい」という思いもあり、CFに踏み切った。

このCFでは支援者に対する返礼品にこだわることで、支援者にとっても意味のある企画にしたかったという。地球断面図には支援者の意見も取り入れ「一緒につくれた」と実感してもらえるものを作り上げた。

「あらゆるお客様に地球を体感してほしい」と山本准教授は話している。

CF を用いて作り上げた地球断面図の展示(北海道大学総合博物館)

◇北大祭事務局

北海道大学大学祭全学実行委員会(北大祭事務局)は、北大祭公式キャラクター「ふっとう君」の着ぐるみ制作資金を募るCFを行った。

従来の手作りによる着ぐるみは、壊れやすいことに加えて着る人の負担になっていた。そこで10年以上使える新たな着ぐるみを制作するためにCFを試みたという。

しかし、CF実施期間の約1か月の間には目標金額の77万円に届かなかった。CF担当の佐々木勇輝さんは「(CFは)とにかく難しかったが、これを通じてふっとう君に思い入れがある人と出会えたことはとても嬉しかった」と述べた。

ふっとう君(北大祭事務局提供)

◇相撲部

本学相撲部では、道場建設の資金を集めるためにCFを利用している。

相撲部は現在、札幌市中央体育館の相撲室で稽古を行っている。しかし、毎回利用料がかかること、大学から稽古場までが離れていることなどから、思うように練習をすることが難しい。そこで、寄付金を募って本学構内に専用の道場を建設することを決断。その手段の一つとしてCFを開始した。

建設に必要な資金は2千万円。ツイッターなどで宣伝を行い、第1回目のCFではひとまずの目標額である百万円を達成した。しかし、第2回目では思うように寄付金が集まらないまま終了。相撲部主将の能智英(はな)さんは「そう上手くはいかなかった。次は相当考えて寄付を募っていきたい」と話す。

本学相撲部は設立から約10年ほどであり、他の旧帝国大学と比べても歴史が浅い。OB会などもないため資金集めには苦慮しているという。今後は企業への営業や著名人への声掛けなどを行いつつ、CFへの挑戦も続けていく予定だ。

札幌市中央体育館での稽古の様子

◇研究者

研究者もCFを活用している。本学人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人(あやと)教授。エボラウイルス研究の第一人者だ。高田教授は今月、エボラ出血熱の治療薬開発に向けたCFを開始し、わずか1週間ほどで目標金額である370万円を集めた。

20年間以上にわたる研究の末に高田教授は昨年、治療薬のもととなる化合物を発見。治療薬の実現にはこの化合物を生体に投与する試験が必要になるが、そのための助成金は獲得できなかった。そこで、試験費用を広く一般の人から寄付してもらおうとCFを活用した。

CFが始まると程なくしてツイッターで話題に。広く拡散された結果、実施期間終了より1カ月半以上早く、1週間ほどで目標金額を達成した。その後も寄付が相次ぎ26日現在、目標金額の約3倍である1128万円の寄付が集まっている。SNSでの拡散効果が発揮された格好だ。高田教授は「多くの支援に本当に感謝している」と喜んだ。

また、「CFで沢山の人に研究内容が伝わり、今後の研究活動にも良い影響がありそう」と高田教授。研究費の獲得手段としてのCFにも注目が集まりそうだ。

高田礼人教授