北大祭に登場、津別町の名物「クマヤキ」──学生が焼く“食”の地方創生

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第67回北大祭で、ひときわ目を引く黄色い屋台が出現した。そこに並ぶのは、愛らしい熊の形をした焼き菓子「クマヤキ」だ。普段は北海道・津別町の「道の駅あいおい」で販売されている人気スイーツが、北大生の手によって札幌の地に姿を見せた。

この屋台でクマヤキを焼いていたのは、文学部2年の福留いのりさん。彼女が所属する学生団体「HALCC(ハルク)」は、北大生を中心に構成され、津別町を舞台に地方創生に取り組む団体だ。今回のクマヤキ販売もその活動の一環として実施された。

クマヤキを焼く福留さん

もともと地方創生に関心を持っていた福留さんは、HALCCの活動に惹かれて入会。クマヤキ修行に挑んだ理由について「津別町を発信する上で自分にできることの幅を広げたかった」​​​と語る。

「紙やネットでの情報発信も大切ですが、実際に津別町で人と関わり、現地の空気を感じながら学んだことは、それ以上に深いものでした」と福留さん。自身が執筆するHALCCのブログでも、「クマヤキを焼けるようになれば、自分の手で津別町を伝えるきっかけが作れる。これは誰にでもできることではなく、とても素敵な技だと思っています」と綴っている。

クマヤキの生地はしっとり、中にはとろりとした餡が詰まっており、見た目にも味にも癒される一品。福留さんの手によって提供されたその一つひとつには、「食を通じて津別町を知ってもらいたい」という思いが込められていた。

「食」がつなぐ地域と都市。クマヤキは、その架け橋となる存在として、今日も誰かの心を温めている。

(取材:櫛間、和田、木本 執筆:櫛間、和田)

クマヤキを実食!気になる味と魅力をレポート

つめたいタイプの「ナマクマ」と、温かい「ヒグマ」の2種類をいただいた。

「ナマクマ」と「ヒグマ」

手のひらサイズのクマヤキは、クマのフォルムがしっかりと再現されていて、思わず写真を撮りたくなるビジュアル。特にお腹の部分がぷっくりと膨らんでいて、ここにぎっしりと餡が詰まっている。

手にしてみて、まず驚いたのは生地である。たい焼きのようなパリッと感かと思いきや、しっとり、かつもっちりとしている。ちょうどたい焼きの生地とクレープの中間のような柔らかさで、とても食べやすく、優しい口当たりであった。ひと口食べると、中からとろりと餡があふれ出てくるボリューミーな一品となっている。

冷やして食べる「ナマクマ」は、生クリームとあんこが入っている。生クリームのまろやかさと、あんこの優しい甘さが絶妙にマッチしている。つめたさも相まってまるで和風スイーツパフェのような口どけであった。

一方、温かい「ヒグマ」は、できたてならではのふんわりとした香りと、手に持った瞬間に伝わるほんのりした温もりが魅力である。中には豆乳カスタードがたっぷりと詰まっていて、こちらもひと口目から幸せな甘さが広がる。時間が少し経っても中の豆乳カスタードは熱々のままで、生地がしっかりと封じ込めるので、温かいまま美味しく食べることができる。

クマヤキは、見た目のかわいらしさだけでなく、しっとりとした生地とたっぷりと入った餡で、「また食べたい!」と思わせてくれるスイーツである。

冷たい「ナマクマ」、温かい「ヒグマ」、どちらも甲乙つけがたい美味しさであった。

(取材:加藤、櫛間 執筆:加藤)