北方領土×メイド 北方領土問題を周知するために
北方領土系メイドとして活動する水晶えりかさん。北大祭にもブースを出しており、昨年に引き続き取材を行った。
えりかさんは現在大学3年生で、学校に通いつつ北方領土系メイドとして活動している。北方領土問題の啓発活動をはじめようと考えた際、大人たちのスーツに堅苦しさを感じ、自分がもともと好きだったメイド服で活動を行うことを思いついた。名前の「水晶えりか」であるが、先に活動していた北方領土イメージキャラクターである「北方領土エリカちゃん」から「えりか」の名をとり、歯舞諸島にある「水晶島」から「水晶」の名をとったという。えりかさん自身に関しては昨年の記事でより詳しく書いているため、あわせて読んでほしい。

現在の活動
現在えりかさんは、「北のフロンティア勉強会」や「千島連盟」、「北方領土サポーター」といった北方領土に関する組織に所属し、啓発運動や講演会、セミナーなどを行っている。子どもから大人まで様々な年代を対象とする講演会では、聞き手が分かりやすいように具体例を使うことを心がけている。例えば北方四島の面積を説明する際には千葉県や福岡県と同じくらいの広さであると伝える。一方、根室の学生に講演するときには少し困ることがあるという。それは北方領土に関する知識の豊富さだ。根室の学生は他地域の大人以上に知識を持っているといい、「基礎的な知識の説明だけでは退屈させてしまう」と毎回様々な工夫をこらしている。
えりかさんは高校2年生から被写体として写真のモデルになる活動をしていた。大学1年生までは無償で被写体となっていたが、有料でも撮影したいという人が現れたことをきっかけに有料化した。料金は1時間5000円。また、北方領土に最も近い根室市の納沙布岬で撮影会を行い、写真集を発売することも考えているという。

北大祭での出店と若者への期待
今年の北大祭では、ブースにて北海道庁から提供されたパネルの展示や北方領土輪投げ、北方領土すごろく、チラシの配布、ボールペンとシールの配布といった活動を行った。およそ300人がブースに来場したという。また、昨年の北大祭で知り合った方との縁で、その方が研究している中標津に関する講演も行った。今年は北方領土サポーターに協力を依頼し、ブース運営のスタッフを務めてもらったことで自身の手が空き、来場者との交流の時間を増やすことができたという。


北大祭での出展を決めたのは「若者にアプローチしたい」という思いからであると昨年語ったえりかさんだが、最近は手応えを感じているという。友人が北方領土関連の話題を話したり、自身のファンがX(旧Twitter)に北方領土関連のツイートをしたりしているところを見かけるようになり、自分の活動がきっかけで北方領土に興味を持ってもらえるようになったことを実感している。元島民の高齢化が進む中で、若者への北方領土問題の周知が急務となっている今、えりかさんは「北方領土への興味関心を失わせない」ことが大切だと語る。特に若者に対しては北方領土サポーターへの加入や洋上セミナー(詳細は記事末尾)への参加を勧める。これらの活動の中には宿泊費などが全額支給のもと根室に行ける企画もあり、「ぜひ行ってみてほしい」と話す。
今後の展望
現在就活中であるというえりかさんは「社会人になれば大学生のような無限の時間は無くなる」と語るが、それでも北方領土啓発活動は続けたいと話す。えりかさんは誰かが北方領土について知りたいと思ったときに「一番初めに頼られる存在」になりたいといい、老若男女問わず北方領土について学びたいときに学べる環境をつくりたいと話す。ロシア・ウクライナ戦争が長期化し、四島の返還の糸口が見えない今、えりかさんのような活動で北方領土問題を風化させないことが何よりも大切であろう。
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<洋上セミナー>
日時: 令和7年9月15日(月・祝)~9月17日(水)(2泊3日)
場所: 四島交流使用船舶「えとぴりか」号(根室港・根室沖)
北海道立北方四島交流センター(二ホロ)(根室市穂香110-9)
望郷の岬公園(根室市納沙布岬)
別海北方展望塔(野付郡別海町尾岱沼) 等
内容: ・洋上セミナ-(元島民二世等による講話、船内見学、洋上視察、ディスカッション等)
・北方領土関連施設の見学
その他:交通費宿泊費は北方四島交流北海道推進委員会が負担します。
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取材・執筆:桝田悠月
えりかさんのSNS
Instagram @suisyou_erika
X(旧Twitter)@suisyou_erika