金葉祭ステージ今年は開催せず 金葉祭実行委員の心中とは?
北13条のいちょう並木が一斉にライトアップされる北大の一大イベント、金葉祭。幻想的な風景を目に焼き付けようと毎年約6万人の来場者が訪れる(今年は11月1日と2日に開催予定)。そんな金葉祭では例年、いちょう並木のライトアップの他にも複数の団体が出演するステージも見どころとなっており、昨年は北大フォークソング研究会や北大医学部軽音部、北大口笛愛好会をはじめとする10弱の団体が金葉祭を盛り上げた。
「今年も金葉祭ステージの出演に向けて練習中だった」そう語るのは北大フォークソング研究会の1人。しかし、10月半ばに差し掛かったころ、各団体が金葉祭実行委員会から受け取ったのは「今年は金葉祭ステージを開催しない」旨の文面だった。突然のことに団体からは戸惑いの声が上がる中、北大新聞は実態を調査するため金葉祭実行委員会に話を聞いた。
取材に応じてくれたのは、金葉祭実行委員会代表の杉本壮一朗さん(薬学部薬科学科2年)。「ステージ中止は、委員会としても苦渋の決断だった」と杉本さん。例年、金葉祭ステージは北大構内のジンパエリアを使用して開催していたが、今年は建物の建設工事の影響によりジンパエリアの大部分が使えない状況だ。外部からの要請は特になく、実施が不可能だったわけではないが、周辺の環境にも配慮した結果、来場者と出演者双方に満足してもらえるステージの提供が難しかったため中止を決断したという。中止が委員会内で最終的に決定したのは10月上旬だと語る杉本さん。「出演予定だった団体とはステージ開催に向けて調整を重ねてきたから残念だ。団体にも、直前のご連絡となってしまい申し訳ない」と顔を曇らせた。その一方で、「今年は工事の影響が見通せない。来年も工事は続くが、今年得られたデータをもとに見通しを立て、ステージ開催に向けて準備を始める」と来年の開催に向けた展望を語る。
金葉祭ステージは中止となったが、飲食屋台や子供向けの縁日の開催、グッズ販売やストリートピアノの設置は例年通り準備を進めており、今年は特に力を入れていると言う。飲食屋台で毎年人気の焼きそばは、北海道産の野菜や小麦を使用するなど、素材にこだわって提供する。昨年大人気だったわたあめも、今年は生産体制を強化している。「委員会内で試作会も行い、メニュー決めにはこだわっている。是非たくさんの人に食べに来てほしい」と杉本さん。来場者が自由に弾くことができるストリートピアノも例年のアップライトピアノからグランドピアノにアップグレードし、魅力度を上げるという。また、金葉祭は、例年ポスターを作成し近隣の市役所や地下鉄の駅に貼り出すことで広報を行ってきたが、これに加えて今年からは札幌市の地下鉄や市電の車両内にも交通広告を出すことで、宣伝を強化している。

↑有志の委員が集まり、当日販売するグッズを作成する様子


↑手作りのグッズは、約300円から500円で販売する予定。 キーホルダーには並木から拾ってきたいちょうを使用している(写真右)
なお、例年金葉祭は10月の最終週の土日に開催するが、黄葉が温暖化などにより年々遅くなっていることから、今年は時期を少し遅らせ11月1日と2日に開催するという。 「去年はまだ少しいちょうが青かったので、今年は綺麗な黄葉になってほしい」と杉本さん。「毎年多くのお客さんに来てもらい、年々金葉祭の知名度も上がっている。今年も金葉祭でしか見れないものを提供できる自信があるので、ぜひ多くの人が見に来てくれたら嬉しい」と意気込みを語った。
開催まで10日を切った金葉祭。今年も、金葉祭実行委員会の想いがこめられた綺麗な黄葉が北大を明るく照らすのが楽しみだ。
(取材・執筆・撮影:武田)