寮歌が響く秋の恵迪寮 寮祭一般公開日迫る

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10月初めから約1か月間にわたって開催される恵迪寮祭(以下 寮祭)。寮生が互いに楽しむ目的で開催され、寮祭期間は毎日違った企画が行われる。代表的な企画としては、定山渓まで高下駄(注1)を履いて30km歩く観楓会(かんぷうかい)や相撲大会、女装コンテスト、各部屋によって企画されるオリジナル企画などがある。今回北大新聞は、11月1日と2日の一般公開日(注2)を前に、寮祭の様子を取材するため恵迪寮に足を運んだ。

10月下旬の取材日、恵迪寮では、寮祭の一環として寮歌祭が開催されていた。寮歌祭とは、明治40年から毎年作られている寮歌を普及するための企画だ。寮歌普及委員会の運営の元、毎年4月と10月に行われる。寮の各部屋や部局(注3)ごとに、過去に作られた寮歌を一曲ずつ選び、寮歌祭当日に簡単な寸劇やネタの披露を行った後、寮生の前で選んだ理由や寮歌の意味を紹介する。各部屋による紹介が一通り終わった後は、寮歌祭の目玉、新寮歌発表がある。新寮歌は寮内で公募し、応募があった中から寮生の投票によって決まる。

「永遠の幸」の歌唱とともに企画が始まり、各部屋・部門のステージが次々と始まる。中でも、寮歌「広がるはただ青き旅路ぞ」を紹介した自治会執行委員会寮務部は、寮歌の紹介前に、リンダカラー∞(インフィニティ)(注4)のネタをアレンジしたものを披露したことで、ひときわ注目を浴びた。平成23年度寮歌「広がるはただ青き旅路ぞ」を選択した理由について、自治会執行委員会寮務部の澤地璃子さん(文学部1年)は「この寮歌は、『作詞者が北大に受かってから北海道に来るまでに青い旅路が見えた』というもの。明るい未来を表す歌詞に惹かれた」と語る。「ネタもみんなが楽しんでくれてよかった。頑張って準備した甲斐があった」と笑顔を見せた。

↑「広がるはただ青き旅路ぞ」を選んだ寮務部によるステージ。写真は、ネタを披露している場面(写真左)寮務部の皆さん(写真右 真ん中が澤地さん)

寮歌の紹介後、太鼓の音とともに今年の寮歌発表に移る。皆の視線が舞台に集まる中、今年の寮歌が書かれた幕が下ろされた。「―選ばれたのは『朝』。」

↑今年の寮歌「朝」

「朝」の1番は、眠たげな朝の様子を情景描写したもの。眠い目をこすり「一歩ドアから踏み出せば」ダイナミックな世界が広がることを伝えている。2番は、通学路の情景を描いたもの。寮生と自転車ですれ違ったり一緒に通学したりと、何気ない朝の出来事すべてに恵迪寮のリアルな青春を感じる作詞者の思いを表している。

この歌に込めた想いについて、作詞・作曲者のAさん(仮名)は「寮歌は歌い継がれていくものなので、変わってしまうかもしれない『今』の日常を歌に残した」と語る。その上で「この歌は『寮生の朝』をそのまま切り取ったもの。寮祭は大変だけど、学校も頑張って行きましょう(笑)」とAさん。

寮祭は毎年終盤の2日間を一般公開日としており、今年は11月1日と2日に予定されている。いつもの日常に、楽しさをプラスした非日常が味わえる空間。是非訪れてみてはいかがだろうか。

(取材・執筆・撮影:武田)

注1:厚底の下駄

注2:恵迪寮祭は毎年終盤の2日間を一般公開日としており、寮関係者以外も寮内に立ち入り、各部屋の企画や催しを楽しむことができる

注3:恵迪寮自治会の執行部(執行委員会)には寮務部、炊務部、会計部の3つの部局がある

注4:ワタナベエンターテインメント所属のお笑いトリオ