「木育」に関するシンポジウム開催 ―鈴井貴之さんら登壇

朝日モーニング
Pocket

講演する鈴井貴之さん(12日、高等教育推進機構大講堂)

「国民参加の森林(もり)づくりシンポジウム」が12日、北海道などの主催で本学高等教育推進機構にて行われた。同イベントは来年秋、33年ぶりに北海道で催される全国育樹祭に先行し行われたものだ。テーマとなった木育の活動とは、主に木工教室などで木と触れ合う機会を増やすことにより、人と木や森の関わり方について多くの人に主体的に考えてもらうことを目的とした活動である。当日は鈴井貴之さんの講演や森林活用の事例発表、木育の中心的人物4人のパネルディスカッションなどが行われた。

「水曜どうでしょう」で有名な鈴井貴之さんが森での暮らしを語る

芸能事務所クリエイティブオフィスキューのタレント・構成作家で「水曜どうでしょう」の企画、出演をした鈴井貴之さんが、記念講演を行った。鈴井さんは、出身地である北海道赤平市の森を購入して始めた生活について語った。

鈴井さんは、東京で仕事をしても日帰りで帰宅し、半分以上の時間を赤平市の森林の中の自宅で過ごしているという。講演では、4ヘクタールもの森林を開墾し、生活を維持する中での数多くの苦労やトラブルが、写真と共にユーモア溢れる語り口で紹介された。

30代頃まで土いじりなどのアウトドア活動を嫌っていたにもかかわらず、森に住み続ける理由を、鈴井さんは「森には本当に癒しがある」からだとした。開墾のために木を倒すときに響いた音が悲鳴に聞こえたことから、木を切ることに対し「自分の身勝手だ」「すみません」という思いを抱いたそうだ。森に住むことで、人や自然環境に対しても考え方が変わり、森の尊さを感じるようになったという。経験を踏まえ、鈴井さんは「肌で感じて初めて森、緑の大切さっていうのは分かるんじゃないかな」と述べた。

木材利用、森林活用の事例を発表

北海道旭川農業高校森林科学科の生徒らは、木製スロープトイを開発する取り組みについて発表した。スロープトイは、傾いて設置された板の上を玉が転がることで音楽を奏でるおもちゃ。年齢や国籍を問わず木に親しめるよう、音を楽しむおもちゃに着目したそうだ。発表の最後に「木の持つ様々な可能性や魅力を世界中の多くの人に伝えていきます」と話した。

スロープトイの中を玉が転がり落ちる様子

苫東和みの森運営協議会副会長の上田融(とおる)さんは、第58回全国植樹祭の会場となった苫小牧市東部の「苫東和みの森」を維持、活用する取り組みについて述べた。子どもたちに森を体感させる「森の幼稚園」というイベントを企画し、上田さんらの監督の下で子どもたちに枝拾いや薪割りなどをさせたところ、子どもたちは遊びと捉えて飽きずに作業し続けたという。さらに、森の幼稚園での体験に影響を受け森に関わる人生を送るようになった人が多くいると話した。具体例として、森を嫌っていた保護者が木育の普及活動を行う団体を設立したこと、参加者の子どもが成長し森林保護に関わる進路を選んだことなどを挙げた。