【解説】一過性の混乱か、サークル離れの序章か —コロナ禍の学生生活

Pocket

今年4月、4年ごとの定期実施で2021年に行われた本学の学生生活実態調査の結果が公表された。一昨年に新型コロナウイルスの感染が拡大して以降では初となる同調査で浮かび上がったのは、コロナ禍をきっかけに始まった学生生活の大きな変化に直面する北大生の姿だった。調査から見えてくる実態を、2回に分けて解説する。

第1回は、学生団体の構成員減少を取り上げる。感染拡大に対処するため、部活動やサークルは勧誘をはじめとする活動の形態の変更を迫られた。感染流行に翻弄される学生団体の苦悩の一端を、データが捉えている。

前回(2017年)・前々回(2013年)調査に比べ低下が目立ったのが、部活動やサークルをはじめとする課外活動団体への加入率だ。今回調査で判明した加入率の合計は63.1%で、過去2回調査の加入率(72.9%→73.7%)から大きく下がった。団体の種類ごとの変化をみても、コロナ禍による構成員の減少は活動の内容を問わず多くの団体に当てはまる(下図参照)。対面での活動が比較的多い運動系団体の減少幅は特に大きく、感染対策により各種活動施設が一時閉鎖されたことなどが影響した可能性がある。

 課外活動団体への加入率の変化

各団体が勧誘に苦戦する中、課外活動団体に「加入したことがない」と答えた学生は学生全体の17.0%にのぼり、過去2回調査の値(9.9%→9.9%)を大幅に上回る結果となった。これは、対面での勧誘の減少などによって団体加入の機会を逃した学生の増加を示す可能性がある。一方、この変化は友人に誘われるなど受動的に中学·高校の部活動に参加していた層が団体への加入が困難なコロナ禍においてその必要性を感じなくなったとの見方もできるものだ。この増加は「入れなかった」学生の増加か、それとも「入らなかった」学生の増加か。確実な分析には次回調査の値が必要だが、いずれにせよこの感染流行が部活・サークル文化の衰退を招いていることは確実だ。