古河講堂が紫色にライトアップ ハラスメント防止を訴える

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11月22日夜。正門から本学構内へ入ると、中央ローンの向かい奥、木々の隙間に紫色の灯りが見える。北海道大学ダイバーシティ&インクルージョン推進本部によって実施される、古河講堂のパープル・ライトアップだ。

パープル・ライトアップは内閣府の「女性に対する暴力をなくす運動」に賛同して行われる。パープルカラーは、女性に対する暴力根絶のシンボルであるパープルリボンにちなんだもので、運動の期間として定められた11月12日から11月25日にかけて、全国のタワーやランドマークがこの色に照らされる。古河講堂がライトアップされるのは、2021年から始まり今年で3回目。

例年は点灯式に伴い講堂前で学生によるスピーチなどが行われるが、今年は点灯式は行われず、関連企画としてハラスメント講演会が開催された。「問題をよりみんなと共有するために」と、ダイバーシティ&インクルージョン推進本部副本部長・矢野理香教授は話す。

パープルカラーに染まる古河講堂(11月22日撮影)
(明るさ、コントラストを調節)

講演の内容は、大学におけるセクシャル・ハラスメントの現状とその対策だ。本学ハラスメント相談室の佐藤直弘相談員と、NPO法人ゆいネット北海道の理事を務める須田布美子弁護士による講演が行われた。種々のハラスメントの定義から実際に学内でハラスメントを目にしたときの対応の仕方まで、内容は多岐に及んだ。

パープル・ライトアップ運動の基本理念は「女性に対する暴力の根絶」だが、講演の中では「SOGIハラスメント(※)」など、被害者を女性に限定しないハラスメントも扱われた。須田さんは、パープルリボン運動のように女性に対する暴力と戦う必要は確かにある一方で、「(そうした運動においても)男性でも声をあげていいんだよ、ということは必ず言うようにしている」と話す。女性に対するセクシャル・ハラスメントと同時に、さまざまな条件の被害者がいるSOGIハラなどにも対応していくことで、ハラスメントを全体的に解消できる、というのが須田さんの考えだ。

矢野教授は、今後について「今日勉強したから終わりということではなく、学んだことの日々の行動化や意識醸成に向けては、勉強会やイベント、ニュースレターなどさまざまな発信を継続的にやっていくことが重要」と話す。「全ての学生が自分の性に関する悩みや性被害を相談できる環境づくりに今後も取り組んでいきたい」

※SOGIハラスメント…性的指向(Sexual Orientation)や性自認(Gender Identity)に関する偏見や差別に基づく言動のこと。

♢学生相談総合センター学生相談室
電話:011-706-7463
予約申し込み:yoyaku[at]sacc.hokudai.ac.jp
受付時間:月〜金 9:00〜17:00
♢性暴力被害者支援センター北海道SACRACH(さくらこ)
電話番号:0120-8891-77 / 050-3786-0799 / #8891
受付時間:月~金 10:00~20:00 (土日祝祭日、12/29~1/3を除く)

(取材・撮影・執筆:高橋)