一万人の都ぞ弥生~3日間の賑わいの締めくくり
北大祭最終日となる8日の午後4時頃。各団体の出店も終わり、来場者は続々とメインストリートを後にする。北大サッカー部のPKの企画をホームページで見て来場したという親子は、「薬学部の実験体験が面白かった。午後から来たが、熱気があって楽しめていい雰囲気だった」と北大祭を振り返った。今年の北大祭にも、いよいよ終わりが近づいていた。
そんな中、高等教育推進機構(以下教養棟)の前には大勢の人々が集まっていた。彼らの視線の先には、大きく掲げられた寮歌「都ぞ弥生」の歌詞と、羽織に身を包んだ応援団員たちの姿があった。今年も北大祭のフィナーレを飾ることとなった「一万人の都ぞ弥生」は、北海道大学応援団による伝統ある企画だ。
応援団員による激励の挨拶の後、北海道大学校歌「永遠の幸(とこしえのさち)」の合唱が始まった。先頭で団長が声を上げ始めると、最初は小さかった人々の歌声が徐々に大きく、ひとつになっていった。合唱に吸い込まれ、メインストリートを歩く人々が教養棟前に集まっていく。
続いて、最終奥義「檄文」が始まった。檄文を読み上げたのは、ポスターや立て看板に描かれていた神馬さんだ。「今日は俺の肌のように色濃い思い出を作ってやるぞ」と叫ぶ神馬さん。ユーモアの詰まった神馬さんの檄文に、会場には笑い声が響き渡る。最後に、「北大祭を最後まで、熱く熱く盛り上げてくれ」と来場者を鼓舞した。
最後のプログラムは、都ぞ弥生の合唱だ。「隣の人と肩を組み、歴史・思い出・人と人との繋がりを残していきましょう」と団員が叫ぶ。その場に集った人々がひとつの輪となり、太鼓に合わせて声高らかに合唱を始めた。
一度合唱が終わると、一部の学生たちが一斉に服を脱ぎ、赤いふんどし一丁の姿になっていく。そして伝統の「ストーム」が始まると、学生も来場者も混ざりあって円になり、歌い回っていた。
ストームに参加した札幌の中学生・千葉祐希さんは、「すごい大迫力だった。押されて痛かったけれど楽しかった」としたうえで、「また来年も参加したい」と元気よく語ってくれた。
また、ストームを見ていた来場者からは「大迫力で楽しかった」との声や、「最近は都ぞ弥生が1番しか歌えてなかったから、今回は5番全て歌えて楽しかった」という声もあった。
ストームが終わり、人々は教養棟前を去っていく。そしてその横では、着々と後片付けが始まっていた。今年は北13条門付近ではなく教養棟前に設置された「Performance Stage」は既に解体されており、体育館横の「Rock Stage」もほとんど片付いていた。
こうして、メインストリートがだんだんと普段の姿に戻っていった。メインストリートの模擬店はもちろんのこと、屋内での展示や野外ステージでのパフォーマンスなど、今年も様々な場所で賑わいを見せた北大祭。そのどれもが、今年の北大祭テーマ「彩雲」のように、多彩に輝いていた。祭りは終わってしまったが、その輝きはきっと来場者や北大生の心の中に残り続けるだろう。
(取材:木本、大野 執筆:木本)