七大戦へ「泳泳打破」〜北海道大学体育会水泳部白熊会

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7月5日午前8時、記者は24/7 SPORTS CLUB(札幌市中央区)の前にやってきていた。北海道大学体育会水泳部白熊会の取材のためである。迷いながらも入口につくと、笑顔でマネージャーが迎えてくれた。案内されるがままに階段を上り、2階の室内プールに入る。するとそこでは、20人を超える白熊会部員たちが練習前半を終え水飲み休憩をしていた。

練習前半を終えた選手たち

時間になり、主将の山田陽登(はると)さん(文学部3年)が号令をかけた。25メートルプールの1レーン毎に4・5人の部員が並び、スタートの合図を待つ。そして、室内に響き渡るマネージャーの掛け声とともに列の一番前の選手たちがスタートした。最初の種目はバタフライだ。腕を大きく広げ、水しぶきを上げながら泳ぐ。前の人と距離が離れると、後続の選手たちもスタートする。

時を経ず先頭の選手が向こう岸についた。彼らはレーンの右側を泳いでいる後続の選手の妨げにならないようレーンの左側に移動し、バタフライを再開する。往復しスタート地点に戻ってきて、初めて一息つくことができる。しばらくして、レーンの最後列の選手たちがスタート地点に戻ると、最初先頭にいた選手たちは今度はクロールを始める。選手たちは短い休憩を挟みながら背泳ぎ、バタフライ、自由形とプールを4度ほど往復した。

クロールをする選手たち

その後、最後の部員がスタート地点に戻ると、水飲み休憩がとられることとなった。休憩時間中は水を飲む者、仲間と談笑する者、泳ぎ方の確認をする者と多様だ。選手たちは泳ぎの合間に主将の指導やタイム確認、水飲み休憩を挟みながら、25メートルプールを幾度となく往復した。その日の練習では、合計で3.6キロメートル泳いだそうだ。

指導する主将の山田さん(右から3人目)と聞き入る部員たち

最後に、練習とミーティングを終えた部員たちに、七大戦へ向けた意気込みを聞いた。

中学から競泳を始めたという小林花さん(水産学部1年)。白熊会で決まっている練習は平日3回と土曜日の週4回なのだが、小林さんは週6回すべての練習に参加しているという。「たまたま1限がなくて、なんか行けちゃうんです」と小林さん。七大戦の目標については、「6月末の北部大会という大会では思うようなタイムが出せなかったので、七大戦では出したかったタイムを出せるように頑張りたい」と意気込んでくれた。

七大戦前に髪を青に染めるという石井智道さん(工学部2年)。白熊会には七大戦前に髪の色を派手にするという独特な文化があるという。「七大戦前はもう多分8割くらいの人が染めてる。去年1人だけ茶髪にした人が逆に目立ってたくらい」という。「コロナの時にそういう文化はなくなったんだけど、最近また復活してる。いい文化かわからないけど、気合だけは見える」と笑いながら話す。

昨年度の七大戦前日の様子(白熊会Xより)

七大戦の意気込みについては、「200メートルの自由形で決勝を目指してます。かっこいい姿見せます」と熱く語ってくれた。

主将の山田さんには、部としての目標について聞いた。昨年度部としては7大学中男子3位、女子6位だった白熊会だが、これについて山田さんは「今年は一つ順位を上げたい」と語る。今年の白熊会のスローガンは「泳泳打破」。「泳いで泳いで試合の時の緊張も、ライバルも吹っ飛ばしてやろう、というのでやってて、気合入ってます」と笑顔で話してくれた。山田さん個人の目標については、「去年の400メートル個人メドレーでは優勝したので、2連覇できるように頑張ります」と語る。

牧野皇志(こうし)さん(法学部4年)は、今年が最後の七大戦だ。北海道出身で、高校時代も水泳に打ち込んだ牧野さん。高校の引退レースは、七大戦の会場と同じ函館のプールで行われた。「高校から大学最後までやってきて、ラストイヤーで同じプールで引退レースっていうのはちょっと何かの縁があるかなと思っているので、後輩たちにかっこいい姿を見せられるように頑張りたい」と締めくくった。

練習の様子や部員たちの意気込みから、彼らが七大戦にかける熱い思いがひしひしと伝わってきた。競泳の七大戦は19・20日に函館市民プールで行われる。七大戦での白熊会の活躍に期待したい。

コラム 七大戦の眼

道内でも上位の実力を誇る白熊会。その練習は、見ているだけで胸を熱くさせるものがあった。マネージャーたちのプール全体に響き渡る号令。選手たちのエネルギッシュな泳ぎ。中でもバタフライは最も迫力があった。選手が腕を回す度にしぶきが上がり、海面を跳ねる度に波が起こる。選手たちが一斉にバタフライをする姿は、魚の大群が遥かな海原を往く姿を想起させる。

さらに、この勢いで選手たちは3.6キロメートルを泳いだというのだから驚愕だ。記者は高校の水泳の授業で、プールを数往復した程度で疲労困憊になった記憶がある。体力・気力ともに抜群の白熊会部員たち。彼ら彼女らが目前に迫る七大戦でどのような結果を残すのか、今から楽しみでならない。

(取材・執筆・撮影:大野、木本)