「HBAライラック食堂」から広がる共創の輪

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HBAライラック食堂誕生

HBAライラック食堂

北部食堂[1]のネーミングライツ・パートナーが、株式会社HBA[2]に決定した。これにより北部食堂は「HBAライラック食堂」として新たな名前を得た。契約期間は2025年8月1日から2030年7月31日の5年間となる。

北大は「教育研究環境の向上」を目的に、所有する施設の別称(愛称等)を企業につけてもらうネーミングライツ事業を実施している。今回の契約は、HBAがそうしたネーミングライツ事業の趣旨に賛同し、学生の健やかな食生活と交流を日常的に支える拠点を強化したいという思いのもと実現した。

HBAはこれまで、「オリジナルノベルティ制作の実践で学ぶ商品開発とマーケティング」などの講義や、創基150周年記念事業「北の大地で学ぶ、地域課題解決キャンプ」を通じて北大との連携を深めてきた。今回は、そのネーミングライツ契約に込められた思いや今後の展望について、HBAの白幡一雄(しらはたかずお)社長[3]にメールインタビューで話を聞いた。

白幡社長にインタビュー


ーーネーミングライツ契約を結ばれた動機について教えてください。

白幡社長 第一に、大学の案内や広報を通じて別称「HBAライラック食堂」の周知が図られ、当社はネーミングライツ・パートナーとして施設名や写真、動画を自社広報に活用できます。これにより、認知度と信頼性が安定的に高まり、採用・インターンシップや共同研究などの連携強化につながることを期待しています。学生の皆さんにライラック食堂を通して、HBAを知っていただける、興味を持っていただけるかもしれないという点はやはり大きいと考えております。

第二に、食堂という「毎日の接点」を通じて学生支援や産学連携を日常に根づかせることができる点です。
具体的には、学生・教職員の満足度向上、食堂発の交流・連携の増加、共同プロジェクトの創出など、目に見える日常の変化を直接生み出せます。
たとえばネーミングライツ式典時に実施した北大生支援「北大生応援特別チケット『タツタ100』」のように、学生の食をダイレクトに支える地域貢献・学生支援施策を継続的に展開できることも大きなメリットだと思います。


ーー今後、北大とどのような関係を築いていきたいか、その理想像を教えてください。

白幡社長 「共創パートナー」として、課題解決型人材の育成と産学連携の創出を両立させる関係が理想です。 HBAは1964年に札幌で創業し、ITを通じて地域とともに歩んでまいりました。システムインテグレーション、ソフトウェア開発、クラウドサービス、アウトソーシングサービス等を通じ、企業・自治体・教育機関の課題解決に取り組み、北海道のDX(デジタルトランスフォーメーション)と人材育成を支えてきたと自負しています。 その歩みの中で、北大との産学連携は大切な柱です。連携講義や、地域課題解決ワークキャンプなど、学生の学びと実装をつなぐ場づくりを実施しておりますが、この活動は今後も継続・拡充していきたいと考えております。


ーー現在の北大に対する印象を聞かせてください。

白幡社長 北海道を代表する総合大学として、広大で開かれたキャンパス文化、基礎から応用までを貫く研究力、多様性を尊ぶ風土が両立していると感じています。
地域に根差しながら世界へ開く姿勢が強く、産学官・地域連携のポテンシャルの非常に高い大学だと感じております。


ーー北大OBとして、北大生へのメッセージやアドバイスをお願いします。

白幡社長 北大での4年間―正確には5年間(笑)―は、その後の人生の糧となる重要な時間でした。

今も続く「自然に親しむ会『野客(やかく)』」というサークルで道内の多くの山で仲間と過ごした時間、LINAC(電子線形加速器)の地下室に籠って実験した時間、 卒論作成中の徹夜明けに雪景色の銀杏並木を歩いた時間、どれをとっても卒業後の自分を支えてくれました。

失敗を恐れず、チャレンジし、学びを次に生かす姿勢が力になります。 HBAライラック食堂を、出会いや思い出が生まれる「拠点」としてぜひ活用してください。 キャンパスの日常から、一緒に新しい価値をつくっていきましょう。

ともに歩む北大とHBA

学生でにぎわうHBAライラック食堂

インタビューの中で印象的だったのは「共創」という言葉だ。白幡社長の言葉の通り、北大は地域とともに歩む活動を精力的に行っている。同時に、私たち北大生の学びや生活も地域の人々に支えられている。「共創」という言葉は、そうした相互の支えあいの奥底にある温もりを感じさせる。

「腹が減っては戦はできぬ」ということわざがあるように、人は食によって日々の力を得ている。その「日々」を支える食堂がネーミングライツで新たな名を得たことは、地域と大学のつながりを象徴する出来事だ。

白幡社長が語ったように、ライラック食堂は出会いや思い出の生まれる拠点として学生生活を支えていくだろう。おなかを満たし、仲間と語らい、学びに励む——そんな何気ない日常こそ、地域の人々との繋がりによって成り立っていることを心に留めておきたい。


[1]北部食堂
北大札幌キャンパス内に位置し、主に学部1年生が利用する学生食堂。国立大学の学生食堂で最大の規模を誇る。


[2]株式会社HBA
1964年、道や市町村の受託計算を主要事業として創業した札幌に本社を置くITソリューション会社。「『IT』で『幸せ』に挑む」をスローガンにシステム開発、業務アウトソージングなどを通じ企業・自治体・教育機関の課題解決に取り組む。


[3]白幡一雄社長
株式会社HBA代表取締役執行役員社長 北海道芦別市出身。1986年3月北大工学部原子工学科を卒業。北海道ビジネスオートメーション株式会社(現:株式会社HBA)に技術者として入社。2024年から現職。