電子教材DICTOOL——北大生の新たなパートナー

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大学生協が提供する電子教材「DICTOOL」のサービスが2026年度から開始される。DICTOOLはブラウザで利用できる言語学習教材で、辞書機能や読解サポート機能などを備える。また、言語学習にとどまらず、英語文献の読解や英語で配信されるコンテンツ視聴など、北大生の学生生活をあらゆる面で支えてくれる。本記事では今後北大生のパートナーとなるであろうDICTOOLの全貌に迫った。

大学では英語演習や初習外国語などの語学の授業や、レポート等の参考文献、英語のみで行われる授業など様々な形で他言語と触れ合う機会が設けられている。それらの授業では、英語で書かれた講義教材を読んだり、オールイングリッシュの授業で専門分野を学んだり、英語で発表をするなど、多様な言語能力が必要とされる。これらの実践的な語学能力を構成するのは単語の知識、構文認識力、リスニング力、スピーキング力であり、大学生はこれらの力の研鑽に励む必要がある。そのような言語学習に必要な要素を包含する万能教材として、DICTOOLは北大生を助けてくれるだろう。

DICTOOLホーム画面

DICTOOLは辞書機能として英語、諸外国語(別途購入が必要)、国語、理科学用語辞典(Advanceセット)を備え、他種の辞書による複数検索や読み上げなど一般の電子辞書と同じ機能を持つ。学生モニターの中では逆引き検索を称賛する声が多く、またブラウザ上で開くことができるため画面分割やコピー&ペーストに対応している点が評価されていた。

そしてDICTOOL最大の特徴は「読解アシスト」と呼ばれる読解サポート機能だ。読解アシストは他言語の文章を認識し、使用者の文章読解を助ける機能であり、指定された単語の意味を表示する辞書機能に加えて、構文情報の表示、品詞分解、文章レベル解析、音声読み上げ、発音読み取りや時間計測といったスピーキング能力補助などの多様な要素を持つ。また、AI機能として文章要約、キーワードピックアップ、文章レベルの調整(単語の変換)を備え、実践的な英文読解を助ける。

読解アシスト画面

読解アシスト機能について、学年・専門・英語への苦手意識の有無に関係なく学生モニター全員がコンテンツとしての新規性と有用性について称賛した。タップすることで使用することができる辞書機能や視覚的に分かりやすい品詞・構文情報の表示といった直感的な使いやすさ、文章レベルの解析による教材の見極め、発音の確認やスピーキング速度の測定といった英語の発信能力向上における有用性、文章レベルの調整による英作文力・語彙力の向上といった言語学習において必要な要素を兼ね備えた教材として高く評価される。

AIの発展により学生の学習方法は飛躍的に増加し、それらをうまく使えばより効率的な学習が可能である。しかし、AIが便利すぎるがゆえに安易な依存や思考能力の低下を引き起こしてしまうという問題ももちろん存在する。「読解アシスト」はAIの性能を良い塩梅で制限することにより、AIやデジタルデバイスの良い面を引き出すことを可能とする。モニターとして参加した学生は「読解アシストはAIへの依存を防ぎ、自分で考えるきっかけを与える」と述べる。この読解アシストは他の言語学習ツールにはない明確な強みであり、この教材の多様な使い道を生み出す。学生モニターはDICTOOLを使う中で読解アシスト機能を様々な学習形態に対応する『痒い所に手が届く』教材であると評価した。読解アシストの万能性と北大生の自由さが共鳴を起こし、多様な使い方が生まれているように感じられる。

DICTOOLはBaseセット(25,000円)とBaseセットに理科学用語辞典を加えたAdvanceセット(29,000円)の二種類で販売され、その基本セットに自分の選択した諸外国語の辞書を追加することができる(+4300円)。読解アシスト機能はどちらのセットでも使用することができる。

各セットに付属するコンテンツ

DICTOOLに対し北大の各言語の教科主任は高評価を与えている。韓国語教科主任は「機能に制限がある分、他AIの使用による学習に比べ能動的な学習が促される」と述べ、スペイン語教科主任は「今のところ授業で使用するイメージははっきりとしないが、コンテンツとして素晴らしい」と評価する。また、中国語教科主任は「北大で包括ライセンスを結び、ELMS(北大の学習管理システム)などで使用できるようにすれば非常に楽になるのではないか」と意見を述べた。韓国語とロシア語の教科主任は授業で紹介する価値があると評価し、2026年度の授業の冒頭で紹介する予定だそうだ。ここには出てきていない英語やフランス語、ドイツ語の教科主任からも好評であり、総じてデジタルデバイスやAI使用の必要性を感じ、その方向においてDICTOOLは良いコンテンツであると捉えている。

DICTOOLは言語学習のパートナーとして良い働きを果たすとともに、大学生としての勉強スタイル確率の一助となる役割を期待できると北大生協の担当者は述べる。AIとデジタルデバイスは大学生にとって避けては通れないものである。我々はそれらとうまく付き合いながら生きていかなければならない。DICTOOLは各学年のどのフェーズにも対応した網羅的な教材であり、多様な使い方が想定される。コロナ禍を経た我々デジタルネイティブ世代こそ最大限の使い方を引き出すことができるといえよう。

一方で、その多様な機能を十分に使いこなせるかどうかは使用者のモチベーションに強く相関する点も否めない。スペイン語教科主任も学生のやる気のグラデーションについて指摘している。また、第1学年では基礎的な学習が中心となり、DICTOOLの使用が辞書機能にとどまるため、その本来の性能を発揮しづらいという側面もある。

また、辞書機能に限って言えば電子辞書と変わらない性能であると述べる声も多い。ブラウザ上の教材である事も、電波受信を必要とする点や媒体が大型化してしまう点などネガティブな要素としてとらえることができる。

(取材・執筆:山口智弘)