和歌山研究林付近で火災 北大のサークルが救助・避難誘導

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3月15日、北大の和歌山研究林付近の集落で火災が発生した。出火した家に住んでいた85歳の男性の救助を行ったのは、集落で活動中だった「北大古座川町共育サークル ワタリドリ」(以下、ワタリドリ)のメンバーだった。

消火の様子

火災が起きた集落は、和歌山県南方に位置する古座川町にある。同町には和歌山研究林の職員が居住し、実習で研究林を訪れる学生も滞在する。そんな集落にある空き家のひとつを借りて拠点とし、住民と交流しながら様々なボランティア活動を行っていたのが「ワタリドリ」だ。メンバーが各自の都合に合わせて集落に長期滞在する形で活動しており、火災があった日には6人のメンバーがいた。

間一髪の男性救助

火元の家屋は、彼らの拠点の向かい側。当時、集落にいた6人のうち4人は離れた空き地で草刈りをしており、拠点では赤田隼人さん(農学部3年)と西村朋太郎さん(農学部2年)の2人が事務作業などを行っていた。午後2時半頃、拠点にいた2人が異臭に気づき外に出たところ、炎が上がっていたという。

燃えている家に住んでいたのは85歳の男性で、体が悪くほとんど歩けない状態だった。2人がなんとか男性を家の外に運び出したと同時に、草刈り中だった残り4人のメンバーが軽トラックで現場に到着。6人で協力し男性を道路まで運んだのち、軽トラックに乗せて安全な場所に避難させた。男性を運び出してから約30秒後には家が崩壊し始めたそうで、間一髪の救助となった。

この時家は激しく炎上していたため、彼らは「裏手の山を伝って近隣の家にも燃え移るかもしれない」と考え、付近の住民への避難誘導を始めた。集落には空き家も多いが、メンバーは交流を通して住民がどの家に住んでいるか把握していた。結果的に男性は軽いやけどを負ったものの命に別状はなく、被害も出火した家と裏山の一部にとどまった。

命を守った住民との交流

スムーズな避難誘導には集落の住民との交流を深めたワタリドリの活動が活きた。避難誘導について、メンバーの一人である高野(こうの)拓眞さん(理学部3年)は、「空き家がいっぱいあって、俺たちが普段住民と交流してたおかげで、どこに人が住んでるかっていうのをわかっていた」「ぽっと出のよそ者が言っても上手く伝わらなかったかもしれないので、日頃から交流を深めていたのが良かったと思う」と語る。

火災の後片付けを行うワタリドリ

和歌山研究林で行われた集中講義をきっかけに集まった有志で2025年2月に活動を開始、同年9月に正式にサークル化したワタリドリ。普段は住民に依頼される草刈りや耕作放棄地の復元などの作業、中学校での出張授業や小学生の放課後の宿題サポートなどを行っているという。こうした交流が、思わぬ形で活きた。結成から日は浅いが、和歌山の集落に根差した北大生の活動は、すでに確かな実を結んでいる。

中学校での出張授業の様子

(取材・執筆:木本、写真提供:北大古座川町共育サークル ワタリドリ)