北海道大学白菊会「感謝の解剖」からつながるもの

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コロナ流行がもたらした献体不足の危機

安定して学生に献体を提供でき、解剖学実習を行うことができる。その理想的な状況が新型コロナウイルスの流行によって揺らいだ。

解剖学実習に必要な献体数がギリギリの状況となり、予定されていた多くの医師・歯科医師向けのプログラムが縮小や中止を余儀なくされた。

以下は、平成17年度から令和4年度までの年間の本学白菊会への献体数を示したグラフである。

令和2年度以前の献体数は、学生の実習に必要な50体を下回ることはほとんどなかった(不足があっても、前年度の献体数でカバーできていた)。しかし、令和3、4年度は2年連続で献体数が50体を下回り、厳しい献体不足となった。

各年度の献体数の推移(献体数は各年度の本学白菊会総会時のもの)


新型コロナウイルス流行により、病院や介護施設等に入院・入所している会員とその家族の面会が難しくなり、対話が途切れた。このため、生前に「亡くなったあとに白菊会に献体をする」という意思の再確認を家族の間で十分にできなくなったことが、献体不足の背景にあるのではないか、と渡辺特任教授は考えている。

「先人が日本に築いてきた『感謝の解剖』、それが自分たちの代で崩れるようなことがあってはならないと思った」と渡辺特任教授。2023年11月には、本学から広く社会に向けた情報発信である、プレスリリース「献体登録に対するご理解とご協力のお願い ~地域医療の未来を支えるために~」の発表の発表に踏み切った。大きな決断だった。

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