【8月号関連記事】学生、教職員、卒業生… オール北大で支えたアクアモウの躍進 次のムーブメントは生み出せるか

朝日モーニング
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アクアモウのメンバー(地域予選時に撮影、同チーム提供)

世界的な学生ビジネスコンペ「ハルトプライズ」の地域予選で日本勢初優勝の快挙を成し遂げ、英国でのアクセラレータプログラムへの参加を果たした本学学生チーム・Aquamou(アクアモウ)。同チームの活躍を支えたのは学生・教職員・卒業生をはじめとする各方面からの支援だった。ハルトプライズ出場チームへの本学の支援体制とアクアモウへのサポートの舞台裏を学内のキーパーソンに聞いた。


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8月号紙面(これまでの概要)

本学学生チームが壮行会で優勝を報告 クラウドファンディングは目標額を達成(7月13日)


<学内大会運営委員会>大会後も意見交換やプレゼン向上の場を提供

学生らで組織される本学ハルトプライズ運営委員会では学内大会出場者への事前のサポートに加え、上位大会進出チームへの支援も例年行っている。

今年1~3月には、4月に各地で行われる地域予選への出場を決めた学内2チームを対象に「ブラッシュアップセミナー」を2回実施。各チームが本番同様に行うプレゼンテーションに対し、講師として招かれた企業経営者らが発表の方法から発表内容まで多岐にわたってフィードバックを行い、各チームはそれぞれの発表に磨きをかけた。同委員会では先に他の地域予選に出場し、上位入賞を果たしたもう一方の本学学生チームとアクアモウとの合同ミーティングの機会も用意。大会に関するチーム間での情報共有の場となった。

運営委員長を務めた坪井さん(壮行会時撮影)

運営委員会の取り組みが奏功し「特別賞」を受賞

発表が地域予選前であったことから学生チームの活躍と直接の関係はないとされるが、同委員会は各大学の運営委員長に対する表彰において「特別賞(Honorable Mention)」を受賞した。この特別賞は従来の表彰制度に加えて今大会新たに追加された。大会主催側のハルトプライズジャパンによると、これまで表彰されてきた「世界で最も優秀な学生」に加え、特別賞は「世界地域で活躍を認められた学生にも授与している」という。同委員会で委員長を務めた国際食資源学院修士1年の坪井里奈さんは、「栄えある賞をいただくことができ、今までお世話になった皆様には感謝の気持ちでいっぱい」と喜びを語った。

学業との両立が難しく、途中で学内大会出場を諦めるチームも珍しくないことから、委員会では学内大会出場者へのサポートに特に注力したという。スポンサーなどへの報告を目的に、SNSでの情報発信にも力を入れた。「(活動内容を)できるだけ多くの人に伝えられるようにした」と坪井さん。受賞の決め手とまでは断言できないものの、日頃の取り組みが実を結んだ。

<学内関連組織>社会的起業家育成に向け継続的に支援、壮行会開催も

人材育成本部など本学の関係組織では、5年前の第1回学内大会からハルトプライズの取り組みをアントレプレナー(起業家)育成事業の一環で大学として支援している。出場学生への支援は主に学内運営委員会を介して行われており、大会会場の提供から、セミナー講師の招聘(しょうへい)などの人的・経済的支援に至るまでソフト・ハードの両面で大会を継続的にサポートしている。

アクアモウの活躍を受け、大学からの支援はその幅を拡大。同窓会も巻き込んだ本学卒業生への支援の呼びかけをはじめとして、アクセラレータプログラム参加に際して必要となる同チームの旅費集めのサポートなどを実施した。7月に英国への出発を前に学内で行われた同チームの壮行会は、チームメンバーの所属する学部などが合同で開催した。本学卒業生が経営する企業への訪問などを通じ、同チームのビジネスパートナーを探す取り組みも大学の協力のもとで始まっている。

前例のない状況の中、各種の手続き面などに関して、起業家育成事業に関わる本学職員の縁の下からの支援もあったという。第1回学内大会から支援に携わっている人材育成本部の飯田良親客員教授は、「公的な資金とアントレプレナーとの両立は難しい。ルールと折り合いをつけ、きっちり記録を残したことで、今後も大学に定着していく仕組みになるのでは」と振り返った。

壮行会で本学の西井準治理事・副学長から花束を受け取るアクアモウのメンバー

起業家育成の風土は育つか

今後、アクアモウに続く動きを生み出すため、「まずは同チームの経験を学内にシェアすることから始まる」と飯田客員教授。「1人の学生が起業にまで持っていきたいという夢を持った。その具体的な行動が社会を動かし始めていることを(他の学生は)よく味わってほしい」と共感の輪が学生の間に広がることに期待を寄せた。大学としては様々な仕組みを用意し、外部のスポンサーを巻き込むなどして継続的に学生を支援する体制作りなどにも取り組むことなどが重要と語った。

社会的起業家の育成、そして持続可能な社会の実現に向け、アクアモウをはじめ本学関係者の取り組みはこれからが正念場だ。同チームの活躍を機に、さらなる挑戦や支援の動きが広がることに期待が高まる。