SDGs達成に向けた取り組み紹介 本学の研究組織が市民講演会

朝日モーニング
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本学学術交流会館で2日、講演会「SDGs達成に向けた私たちの取り組み」が開催された。本学の環境健康科学研究教育センターが、WHO(世界保健機関)研究協力センターに引き続き認証されたことを記念して行われた。同イベントでは、SDGsに関わりのある活動をしている実務家や研究者らを招いた講演が行われた。

SDGsとは、2015年に国連で採択された持続可能な社会を実現するための世界共通の開発目標だ。

講演の様子

国際協力の現場からSDGsに貢献

はじめに、国際協力機構(JICA)の吉田早苗さんが、JICA事業について講演した。吉田さんは地球環境部環境管理グループ課長補佐として、世界各国でSDGsの達成に資する事業に携わってきた。JICAでの取り組みについて「開発途上国における様々な課題の解決に取り組むJICAの使命とSDGsは共通項が多い」と指摘した。具体例として、インドのデリー市での地下鉄の開発事業を紹介。開発に携わる作業員に対しヘルメットの義務化を行ったり、車内を明るくし女性も安心して乗れる地下鉄にしたりして開発と同時にSDGsにも配慮したという。「日本でも達成が厳しいSDGsは複数ある。レジ袋の使用を抑えるなど、簡単なことから意識づけをしてほしい」と語った。

サニテーション整備で感染症防げ

本学保健科学研究院の山内太郎教授は、SDGsの課題の一つでもあるサニテーション(排泄物やし尿などの処理システム)に関して地域の人々との取り組みについて講演した。サニテーションを十分に整備されることで感染症が減り、5才以下の子どもの死亡率が低下するという。「排泄をどうするかは社会や文化で違う。この問題は単なる物質的な問題ではい」と山内教授。研究地域の一つであるインドネシアでは、トイレが各世帯に普及しているにもかかわらず、排泄物が適切に処理されないまま小川や側溝に流されているという。そこで、山内教授らは学校に着目し、処理のプロセスが絵で描かれたオリジナルトイレットペーパーを導入するなど現地の子どもたちにも教えられる工夫をしたと紹介。「地域の人々がサニーテーションの問題を自分のことと認識しなければならない」と語った。

プラスチック中の化学物質が人体に影響

本学環境健康科学研究教育センターのアイツバマイゆふ特任講師は「環境と健康とSDGs」をテーマに講演した。アイツバマイ特任講師は世界全体の死者のうち約23%が環境と関連した死とのWHOの報告を紹介。環境とは、家庭環境や室内環境も含む、化学物質が身の回りにある空間を指す。アイツバマイ特任講師らが行う「北海道スタディ」では、特に環境の影響を受けやすい子どもに関して血液を採取するなどの研究をしている。この研究の結果、ハウスダスト中に含まれるフタル酸エステル類(主に合成香料やプラスチックの柔軟性を高めるために用いられる)が子どものアレルギーに影響することが判明。電子レンジを使用する時にプラスチック容器から移し替えたり、プラスチック容器の使用を控えることで影響を抑えることができると説明した。