唾液によるPCR検査、精度約9割 北大病院などの研究グループ、従来の方法と同等 —新型コロナ

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研究成果について話す豊嶋崇徳教授(29日、北大医学部)

新型コロナウイルスについて、北海道大学病院は29日、唾液を採取して行うPCR検査の精度が従来の「鼻咽頭ぬぐい液」による検査と同等で、約90%だったと発表した。

同病院検査・輸血部部長の豊嶋崇徳教授らの研究グループが6月中旬から、無症状者1924人の唾液と鼻咽頭ぬぐい液の両方の検体を検査して比較した。その結果、陽性を正しく陽性と判定する「感度」が、唾液で83~97%、鼻咽頭ぬぐい液で77~93%に収まった。陰性を正しく陰性と判定する「特異度」は両者とも99.9%を超えた。

これまでPCR検査の感度は7割との見方もあったが、今回の研究では同検査の感度の高さが確認された。豊嶋教授によると、これまでのデータは中国の武漢で新型コロナが発生した初期の混乱状況のなかのものだったため、感度が低くなった。重症肺炎を起こすと鼻咽頭ではウイルスが検出されにくく、そうした人を含んでいたという。

唾液による検査は豊嶋教授が開発したもの。検体採取時に鼻に綿棒を入れないため医療従事者への感染リスクがないほか、唾液を吐き出すだけなので検査を受ける人とする人の双方で負担が少ない利点がある。今までは唾液による検査の精度を示すデータが十分でなく、普及のネックになっていた可能性がある。29日に開いた会見で豊嶋教授は「鼻咽頭から唾液へのゲームチェンジをして良いというデータが今回わかった。大きな変化の入り口だ」と話した。

北大病院や札幌市のドライブスルー検査ではすでに唾液による検査を導入しているという。