「ディスタンス」視点に大学の歴史紐解く ―北大博物館、コロナ下初の企画展

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コロナ下では初の企画展が始まった(6日、北大総合博物館)

北海道大学総合博物館で6日から、企画展「DISTANCE #学びと距離の物語」が始まった。北大で人や時間といった「距離」を越えて受け継がれてきた標本などの資料を展示している。同館での企画展開催は新型コロナウイルスの感染拡大後初めてで、2月以来。開催は25日まで。

企画展では、札幌農学校第2期卒業生の宮部金吾博士以来、歴代の植物学の教員が作成してきたオオバナノエンレイソウの植物標本や、第2次世界大戦中の学生便覧などを展示。人と人だけではなく、時間などの「距離」と学びの関係に着目して、北大の歴史的な資料を博物館や大学文書館などから集めた。北大では現在のようにビデオ会議ツールがなかった時代にも遠隔教育を行っており、当時使われていたビデオテープの教材なども並べた。

企画展は、文学研究院の「学芸員リカレントプログラム」の一環で、展示物の配置や説明文などの作成には、プログラムの受講生が携わっている。このプログラムは、3年間かけて企画展制作スキルを学ぶものであり、今回の企画展はその集大成の位置づけ。受講生は現役の学芸員や元学芸員など学生2人を含む40人と多彩だった。

文学研究院の今村信隆特任准教授は「今、オンラインの授業などで精神的にも身体的にも苦労があると思うが、(北大の歴史を)振り返ってみると学生がそれぞれの時代に距離と折り合いをつけてきた」と話していた。

グッズサミットも

また、この企画展期間前後に3回、ミュージアムグッズに焦点を当てた「ミュージアムグッズサミット」がオンラインで開催される。ミュージアムグッズと博物館の関係などのテーマで、グッズの作り手などが話し合う。プログラム受講者で、ミュージアムグッズ愛好家の大澤夏美さんが企画した。

遠隔教育のコーナー(6日、北大総合博物館)
学芸員リカレントプログラムの受講生と担当教員(6日、北大総合博物館)