「社会連携、教育研究力、SDGsで世界に貢献する大学へ」 -北大・宝金総長就任1年インタビュー

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就任1年の節目を迎えた本学の宝金清博総長は10月上旬に北海道大学新聞のインタビューに応じ、1年目の取り組みを振り返るとともに今後の展望を語った。

宝金総長が就任したのは2020年10月。新型コロナウイルス禍と前総長の解任という二重苦の中での船出になったものの、「想定外に大変なことはなかった」と振り返る。新型コロナの学内での大規模な感染拡大はほぼ見られず、総長解任に関しても「社会や学内の信頼(回復)、学内の団結が難しいと考えていたが予想よりも回復が良かった」という。

インタビューに応じる宝金総長(10月上旬、本学事務局内)

指定国立も視野に「経営的収入」拡大に向け取り組みを加速

総長選で宝金総長は本学の厳しい財政状況を踏まえ、学内の資産を活用するなどして多角的な収入を得る「経営的収入」を掲げた。これまでの取り組みとしては喫緊の課題に取り組む未来戦略本部の立ち上げや、産学連携の強化などを挙げた。

未来戦略本部では通常は5年程度かけて行う検討作業を、他大学から寄せられた知見を活用するなどして迅速に行い「次の1年間で踏み出せる手応えを感じている」と話す。「真価を問われる中で実を上げていきたい」と改めて意欲を示した。

産学連携では本学の強みであるヘルスサイエンスや第一次産業の領域を中心に取り組みを強化したい考えだ。外部資金の獲得は首都圏の大学が有利と考えられる中「北大にもできると実感した」。

旧帝国七大学の中では遅れをとっている指定国立大学への仲間入りなど本学のプレゼンス向上にも外部資金の獲得は直結する。指定国立をめぐっては「成長の1つのゴールとして今後も目指す」一方、「旧帝大という歴史的名誉を大事にしつつ、自律的で内外から高い名声を得られる大学になることが重要」とした。

SDGsなど柱に存在感をアピールへ

サステイナビリティ推進機構の発足などSDGs(持続可能な開発目標)関連の取り組みは宝金総長就任以来の本学のハイライトの1つだ。英教育専門誌「タイムズ・ハイヤー・エデュケーション」(THE)が大学の社会貢献力をSDGsの枠組みで評価する「大学インパクトランキング」では国内トップクラスを維持している。

「学内に自然にある環境性など、SDGsは本学の150年の歴史の中で学内に埋め込まれてきたDNA」と強調した上で「(本学がSDGsに取り組むことは)違和感のないこと」だとした。大学運営の中期目標で独自にSDGsへの取り組みを掲げたことにも触れつつ、今後も注力する考えを示した。

宝金総長は就任後、本学ホームページでの「総長コラム」や学生との対談動画の発信など「自分たちから出ていく」広報活動も積極的に展開している。「大学には元来、内向きのベクトルがある。そのままにしておくと自分たちとは違う世界の象牙の塔だと社会から思われてしまうかもしれない」とその狙いを語る。インフルエンサーへの訴求など多様な手法を検討しつつ、若年層や企業への浸透も図っていく考えだ。「影響を受ける全てのステークホルダー(利害関係者)との対話を続けていく中で、研究と社会をつなげていきたい」。

男女共同参画や大学院改革なども課題

今後取り組みを強化したい分野としては「取り残したことは山のようにある」としつつ、男女共同参画、国際性向上、教育改革などを挙げた。「(男女共同参画など多様性に関して)国際評価ではコテンパンにやられている。まだまだ成し遂げられていない」と危機感をにじませる。コロナ禍で空白が生じた国際交流の本格的な再開も喫緊の課題だ。

教育改革については大学院改革への意欲を語る。「時代の変化とともにサイエンスも変わってきた。研究力の基盤である大学院を変える時期に差し掛かってきたのではないか」。地域の高校との交流推進など高大連携の強化にも意欲を示した。

「社会連携を進め、世界に伍(ご)する教育研究力を持ち、SDGsで世界に貢献する大学を目指す」と大学像を語った宝金総長。「分かりやすい言葉で方針を示す。多くの関係者に方向を理解していただき、1つの目標に向かっていく大学でありたい」と学内の結束を呼びかけた。