北大出身気象予報士 斉田季実治さんが北大祭に登場 −NHK朝ドラ気象考証も担当

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本学水産学部出身で気象予報士の斉田季実治(きみはる)さんが、北大祭1日目の生配信企画に登場した。学生サークル「北大お天気愛好会(ほっきかい)」のメンバーと気象現象や予報士試験、大学生活など様々なテーマについて対談。NHKで10月まで放送された連続テレビ小説「おかえりモネ」で気象考証を担当したことも踏まえつつ、ドラマの裏側から気象にまつわるマニアックな内容まで、気象について幅広く楽しめる内容となった。

斉田季実治さん

対談は斉田さんの自己紹介からスタート。当初医学部を目指していたことや、気象予報士として仕事をするようになるまでの紆余曲折などを語った。最近の関心事は「宇宙天気」と話す。宇宙天気の対象は太陽フレアの発生などで、人工衛星などの宇宙インフラだけでなく電力、通信インフラへの影響があることから、新しい災害として、その予報の必要性が考えられているという。

斉田さんが気象考証を担当したドラマ「おかえりモネ」は、東日本大震災後の宮城県気仙沼市を舞台の中心として、主人公が気象予報士として活躍していく内容。ドラマ中の気象現象について矛盾や嘘がないかどうかだけでなく、ドラマ内での気象予報などが当時の実際の技術と整合しているかをチェックする気象情報の時代考証や、気象キャスターとしての演技指導なども担当したという。また、最初から気象考証担当として決まっていたわけではなく、現役の気象予報士としてインタビューを受けたことから始まったと話した斉田さん。その中での発言がドラマのセリフになった部分もあると語り、制作の舞台裏を明かした。

その後、ほっきかいメンバーの自己紹介に続いて、斉田さんとの対談が実施された。ほっきかいメンバーから見た斉田さんの印象や、斉田さんが学生時代に気象予報士資格を取った際のエピソード、ドラマ中に取り上げられた気象現象など幅広いテーマについて語り合った。ドラマ内の描写の話では、過去の事例をもとにした台風のエピソードを入れたところ、似たような台風が放映期間内に実際に発生し号数が一致してしまったことを紹介。ドラマで描く予定だったが、現実の気象現象で近いものが起き、修正した部分もあったという。現実とリンクしすぎないように注意しながら制作が行われていたことを語った。終盤は、ほっきかいメンバーから斉田さんに「これだけは聞いておきたいこと」を質問。「斉田さんにとって気象予報士とはどんな職業か」という問いには、「気象予報士になったことは人生を大きく動かした。好きなことが仕事にできているのは、すごく幸せなことだと思っている」と答えた。「学生時代に経験したことで社会人人生に役立っていることは」と聞かれると、「いろいろな場所に行ったこと。ヒッチハイクで実家に帰ったり、船に10日間乗り続けたりした。社会人になってから時間を捻出するのは難しい。大学生時代は時間があるので様々な面白いと思うことをやったり、アンテナを張ったりすると良いと思う」とアドバイスした。