夜の北大12カ月ー4月編

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創基150周年を迎える北大は、四季折々の顔を見せるキャンパスの美しさが売りの一つである。しかし、多くの人々が目にするのは、人があふれる昼の顔にすぎない。本コラムは、北大の夜の顔を覗き見て、その美しさを見出すことを旨とする。長い春休みが終わり、新たに学生を迎える札幌キャンパスは、どのような顔を見せるのだろうか。

北海道大学正門

札幌の避”憧”地ー札幌キャンパス

今回の取材で再発見した「北大の魅力」は、大都市の中にたたずむ闇の静けさである。北大は大都市の中にある総合大学として特徴的だ。総合大学はその規模から、都市の中心部から少し離れた場所に建てられることが通例である。しかし、北大は広大な敷地面積(177万平方メートル、エスコンフィールドHOKKAIDO36個分)を有するにも関わらず、札幌という日本有数の大都市の中心に居を構えている。

夜闇に浮かぶのクラーク胸像

大学は学問の府であるため昼に学生や研究者が集まり、夜には人通りがなくなる。そのため、街灯こそあるものの、周りの街並みに比べキャンパス内は暗く保たれている。この広大な闇が都市部にあるのは、札幌キャンパスの特筆すべき点である。

ぜひ、夜の札幌キャンパスを歩いてみてほしい。明るさと喧騒の都市部の中に、闇と静けさの空間が保たれている。その心地よい夜陰と静寂があなたを包んでくれることだろう。人間は火や月光、太陽など光に憧れを持ち続けた生物であるといえよう。しかし、太陽に近づいたイカロスが羽をもがれ地に堕したように、憧れの場所は必ずしも心地よい場所ではない。明るさと喧騒を求めるものも、その中にいると疲れることがあるだろう。その疲労を癒してくれるのが、静かな闇の空間である。元来、人類の祖先は夜行性であった。昼間の輝かしい世界では生きていけない生命を夜の闇は包み、育んでくれたのだ。この、札幌という大都市の夜には「憧れ」と「癒し」が共存している、その「癒し」を担当するのが北海道大学なのだ。

闇夜のメインストリート

夜が明けると、

夜が明けるとキャンパス内に陽光が差し込み、夜闇はひっそりと姿を消す。そしてキャンパス内には学生があふれ、私たちが見慣れた活気づいた札幌キャンパスが帰ってくる。疲れ果てた人たちを癒していた静寂と闇の空間は、若者の生命力により活気づいた陽光が踊る空間に変わる。この正反対のエネルギーが交代しながら現れる空間が我々北大生の学び舎である。


(執筆・撮影:山口)