夜の北大12カ月ー6月編:北大祭の守り人~深夜機材番~

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北大祭で食品を提供する団体は、3日間高額な機材を取り扱うことになる。広大な北大・札幌キャンパスでは、入口を全て封鎖することは難しい。そういった中、1日の営業終了後も機材の盗難を防ぐための見張りを担うのが、「深夜機材番(通称:深夜番)」である。6日の午後11時、深夜機材番を務める学生たちに話を聞いてみた。

北大祭期間中の夜のメインストリート

テント内で話し込んでいる2人組がいた。1年生のようだ。「先輩から、深夜機材番はめっちゃ楽しいと聞いていたのでやってみたのですが、今はとにかく眠いです。しかも僕ら2人は元から仲が良いので、新しく友達ができるとかもありません」とのことだ。何を話していたか尋ねると、「好きな子の話です」と答えてくれた。2人にとっては想像していた深夜機材番ではないかもしれないが、秘密の話に花を咲かせ、友情が深まる一夜になるだろう。

メインストリートを歩いていると、印象的な看板を見つけた。「オ。ーおやきの呼び方についてー」。1年3・4組による出店だ。おやきを販売しており、訪れた人にその呼び名についてアンケートを取っている。深夜機材番担当者の小林寛太さん(文学部1年)は、1人静かに本を呼んでいた。深夜機材番を担当したのは、「時間があったから」だそうだ。寒空の下、手元の明かりで読書をするのもまた、深夜機材番の1つの過ごし方である。

アンケート結果の中間発表。呼称には地域差が表れる

さらに歩くと、どこからかギターの音が聞こえてきた。BioResearchers「はいさーい!沖縄そば!!!」の店舗からだ。ギターを演奏していたのは秋山さん(理学院修士2年)とその後輩。秋山さんが7日にステージでの発表を控えており、後輩を呼んで練習していたそうだ。BioResearchersは研究室のメンバーで構成された有志団体であり、わずか9人で運営しているという。売上は2日間で1000食を超え、模擬店グランプリの中間発表では総合部門2位の座を獲得している。「クラスやサークルと違い、院生でお金が無いので利益確保が不可欠です。機材もなるべく費用を抑えて入手できる方法を採りました。僕らよりガス使ってるところ見たことないですね。消防のお兄さんがボソッと『ここが1番多いね』と言っていました」と秋山さん。利益の確保にステージ出演、最終発表によっては模擬店グランプリの表彰と、3日目は忙しくなりそうだ。

秋山さん(右)と後輩(左)

深夜機材番を担当するのは、現役の団体構成員に限らない。応援吹奏団OBの宮内孟徳(もとのり)さん(環境科学院修士1年)は、団の後輩が出店する「フレー!振れー!応援ポテト」に顔を出したところ、深夜機材番を頼まれてしまったという。宮内さんは現在就職活動中。7日の朝も面接の予定があるそうだ。それでもなぜ、深夜機材番を引き受けたのか。「自分たちが現役で主体的に活動していた頃は、ちょうどコロナ禍で北大祭に出店できなかったんです。深夜番ですら今年の現役の人たちがちょっと羨ましくもあり、引き受けました」。宮内さんにとっては、これが最初で最後の深夜機材番になるかもしれない。どのように過ごすつもりかを尋ねると、「面接の練習ですかね。午前0時に引き継ぎの予定なので、それまで寒さに耐えながら」と語ってくれた。

それぞれが思い思いの時を過ごす北大祭深夜機材番。そこには、初々しさやひとり時間、仲間との絆、そして、少しの哀愁があった。だが、誰にとっても大学生活の思い出の1ページに刻まれることは間違いないだろう。北大祭の守り人が役目を終えると、祭は最終日を迎える。


(取材:安藤・大畑・山口、撮影・執筆:大畑)