うしお丸3世、1月上旬から運用開始 最新式の観測機器の他、陸への給電設備も

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本学水産学部の練習船として実習や海洋調査に使われてきたうしお丸2世(以下2世)の老朽化に伴い、代船のうしお丸3世(以下3世)が新潟造船(新潟市)で建造されている。3世には船酔いを軽減する舵減揺(かじげんよう)装置が新設された他、女性向けの衛生区画が拡充され、プライバシーに配慮した仕様となっている。1月上旬から運用予定。

うしお丸3世(函館キャンパス事務部提供)

新うしお丸の基本情報

3世は全長約45.62メートルで幅8.20メートル、深さ3.40メートルだ。現在運用している2世よりも一回りほど大きい。総トン数(注1)は約260トンで、2世の179トンに比べ増加しているが、沿岸域を航行できるように満載喫水(注2)は2.85メートルに抑えられている。さらに省エネ効果を狙い、プロペラ付近にアルティメットラダーが付けられた。

各種データ

船内環境は向上、災害時の給電設備も  

3世は最大33人(船員16人、教員3人、学生14人)が乗船可能で、女子学生や教員の増加に伴って女性用衛生区画や洗面区画が拡充された。また2世は船の揺れが大きかったが、3世には舵減揺装置が搭載されることで船酔いを軽減でき、より快適な船内生活を送れるようになった。

3世に積み込まれた調査設備はROV(水中ドローン)、自動えい航式連続Tow-yo観測システム(注3)、プランクトンアナライザーなどでいずれも最新式だ。そして、観測機器の精度向上のため、船体は騒音が発生しにくい設計となっている。

また大規模な災害が発生した際に備えて、支援物資を運ぶ設備や船から陸への給電設備も搭載されている。給電できる電気(100V、90A)は一般家屋の2軒分相当だ。

注1 総トン数 船の大きさを表す指標

注2 満載喫水 最大量の荷物を積み込んだ際に船が沈み込む深さ

注3 Tow-yo観測 船で観測装置をえい航しながら、海中の電気伝導率・水温・深度などを測り、海底の熱水噴出孔の様子を調べる観測