保健学科に「ぽからショップ」誕生、かけられた大きな期待

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7月10日、北大生協保健学科店内に「ぽからショップ」が設置された。障がい者の就労支援を行う事業所である「ぽから」の利用者が作成した商品を扱っている。北大生協の購買では今までにない取り組みの背景と狙いを取材した。

温かみのあるコーナー

北大の購買の中でもかなり小さい部類に入る保健学科店。その一角に設置された「ぽからショップ」には、コースターや財布などの生活雑貨や小物が並ぶ。どれも布や毛糸を使って作られており、温かみが感じられる。小さなコーナーではあるが、実用品の多い店内では目を引くものがある。

「ぽからショップ」(8月8日、北大生協保健学科店)

モチベーションアップへ——「ぽから」

NPO法人「札幌こころ・こむ」が運営する就労継続支援B型事業所「ぽから」は、北大とは目と鼻の先、北23条西5丁目のビル内にある。近隣には同様の施設が数多くあるというが、その存在はあまり知られていない。

継続就労支援B型事業者は「一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行う施設」(障害者総合支援法)である。実際の活動について「技術を身につけてもらうことよりも、社会に踏み出す自信をつけてもらうことを重視しています。」と施設長の斎藤忍さんは話す。

ぽからでは、作業の提供を通して障がい者の社会への参加や包摂を目指す。障がいの種類や程度は多種多様であるため、利用者に合わせた作業の提供が必要だ。手芸やヨガ、パソコンのトレーニングなどさまざまなものが用意されている。作業そのものの内容も重視しているという。「手芸などでは作っている人も楽しくなるような素材、商品になるよう心がけています。」

作業に取り組む利用者(提供:ぽから)

北大生協の購買に商品を置いたきっかけは、ぽからとつながりのあった保健学科関係者からの提案だった。これまでもJR札幌駅内などにある「元気ショップ」などで商品を販売してきた。商品はすべて手作り。それゆえ、作業の効率化や急な増産は難しいという。それでも、販売する場所が増えることで利用者の意欲向上につながると、北大生協との協力を決めた。

特色ある店舗運営に向けて——北大生協

北大生協にとっても、設置には大きなメリットがあった。構内のコンビニなどとの競争にさらされる中で、それぞれの購買が「設置されている学部・学科の特性や学生の声を生かした店舗になることが不可欠になっている」と保健学科店の嶋崎有吾店長は話す。

ぽからショップの設置は、まさにこうした店舗運営の試みで、その先駆けだという。保健学科の生徒は、看護やリハビリテーションの領域で障がい者支援に関わる場面が多いという特性を持つ。設置によって障がい者を少しでも身近に感じ、将来のビジョンを持つきっかけになればいいと考え、実現に向けて検討を重ねたという。

込められた大きな期待

ぽからと北大生協双方の期待を背負って生まれたぽからショップ。夏休み前までの売り上げは、双方の予想を上回った。嶋崎さんは、実用品ではない商品がこれほど売れることに驚いているという。「商品のクオリティの高さが組合員の皆さんに響いた結果ではないでしょうか」。齋藤さんも「びっくりしたが嬉しかった」と話す。利用者に対しては「商品の購入を通して、少しでも施設で頑張っている人がいるということを知ってもらいたいです」と語っていた。

北大生協はぽからショップを今後も保健学科店で継続する予定だという。さらに、この保健学科店での取り組みを広く周知するため、期間限定で「ぽから」の商品を扱うコーナーを他の店舗で展開することも検討している。

小さなコーナーに込められた大きな期待は膨らみ続けているようだ。

※北大生協保健学科店は保健学科・保健科学研究院の建物内1階にある。北大生協の組合員であれば保健学科・保健科学研究院の関係者でなくても利用できる。

(取材・執筆・写真:浜出)