唾液によるPCR検査を可能に ―医学研究院 豊嶋崇徳教授【北大のコロナ研究】

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豊嶋崇徳教授は、新型コロナ感染の有無を確かめるPCR検査について、唾液による検査が従来指定されていた鼻咽頭のぬぐい液(スワブ)による検査と同等の精度を持つことを確かめ、認可につなげた。唾液による検査では、スワブ採取に伴う医療従事者への感染リスクが無くなる。

豊嶋崇徳教授(本人より提供)

豊嶋教授が唾液による検査が可能ではないかと考え始めたのは4月に来院したある患者のPCR検査を行ったときのことだ。当時はスワブと喀痰(かくたん)両方の検査が必要だったが、提出された検体について検査技師からは「どうみても痰ではなくつばだった」という報告を受けた。しかし、実際検査を行うと、スワブでは陰性だったが、唾液で陽性反応が出たという。

4月25日、唾液とスワブの感度を比較する研究を開始し、76例における診断一致率が97・4パーセントという結果が出た。そして6月2日、唾液による検査の認可に至った。

唾液による検査では、検査を受ける人自身が唾液をカップに吐き出すことで検体採取を行う。そのため、鼻に綿棒を入れる従来のスワブによる検査とは違い、検査を行う医療従事者への感染リスクが無い。

これにより、医療従事者を救うことのほか、検査に必要な人員や防護服などの不足という問題の解消に繋げた。さらに、唾液を吐きだすだけで検体が採取できるため、検査を受ける人の負担軽減にも繋がった。さらに、検査にかかるコスト面では従来の検査と変わらず、「唾液による検査ならではのデメリットは特に無い」(豊嶋教授)という。

唾液の採取方法(提供=豊嶋教授)

一方で、無症状者の唾液検査は認可されていないという課題も残されていた。そこで6月、国際空港検疫や保健所検査を対象にした研究や札幌市でのドライブスルー検査を行い、無症状者2000例弱でスワブと唾液の比較を行った。この結果を基に、7月中旬には無症状者についても唾液検査が認可された。無症状者を対象にした同研究の成果は間もなく論文で公表されるという。

さらに、PCR検査同様、従来スワブ採取が必要であった新型コロナの抗原検査についても、唾液による検査の有用性を検証し、認可に至った。

豊嶋教授によれば、唾液による検査が可能になったことで、多くの人が検査を受けることができるようになった。今後に残る課題について豊嶋教授は「検査をさらに短時間かつ高精度で行えるようになる技術革新」だとした。

【プロフィール】

てしま・たかのり。本学医学研究院内科学講座教授。1986年九州大学医学部卒業。2012年より現職。2018年より北海道大学病院検査・輸血部部長兼任。唾液を用いたPCR検査方法の開発により、2020年度第3回伊藤太郎特別賞受賞。

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