公約の実現に学内から期待 総長予定者の宝金氏

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本学第20代総長の予定者が前北大病院長(2013~18年度)の宝金(ほうきん)清博特任教授に決まった。近く、文部科学相が任命し、正式に就任する。病院長時代の実績は折り紙付きで、学内からは公約の実現に期待する声が上がる。

宝金清博氏

宝金氏は2日、総長選考会議(議長=石山喬氏)が選出した。宝金氏のほか、笠原正典理事・副学長、横田篤教授が候補者だったが、同会議委員の投票で宝金氏が過半数票を集めたことが決め手となった。

もともと合議で決定する予定だったが、決めきれず投票に。会議は約4時間に及んだという。

同会議は構成員とのコミュニケーション能力や経営の提案力などを評価した。

宝金氏は「再生」と「発展」と題して、指定国立大学法人への申請や、不動産運用などによる経営力の強化といった政策を提案していた。国からの交付金のうち実績により配分される額が減ったことなど17年からの現執行部の課題を指摘。「いまの国立大学は自分たちの力で稼ぐ方向にある」との認識を持ち「新しい方向に向かないといけない」との考えがある。

「ボトムアップ」

総長選で宝金氏の推薦者には医学研究院の多くの教員が名を連ねた。そのうちの一人で推薦者の代表(推薦人)を務めた白土(しらと)博樹教授は「病院長時代に色々な価値観のある2500人をまとめ、(厚生労働相が承認する)『臨床研究中核病院』の認定に導いてくれた」と太鼓判を押す。

臨床研究中核病院は日本発の革新的な医薬品、医療機器の開発に向けた臨床研究などの中心的役割を担う病院を医療法上に位置付ける仕組み。論文の数や質などが要件として求められ「東京大や京都大のようにはいかない」(白土教授)と本学にはハードルが高いとの見方があったという。

しかし、宝金氏は「頑張れば良いことがある」などというように鼓舞し、構成員らのやる気を引き出した。「トップダウンではなくボトムアップで、低いハードルから盛り立てていた」と白土教授。要件に達し、18年3月に承認された。

そうした大きな課題の傍ら看護師や事務職員などの現場の小さな問題にも目を光らせ「後回しにすることなく一つ一つの問題を解決しており見事だった」と白土教授は話す。

18年9月に胆振東部地震に見舞われた際も迅速かつ柔軟に対応し、道内医療の最後の砦(とりで)としての役割を果たしたという。

指定国立に期待

宝金氏は2日の総長選考会議に先立って行われた一定の役職以上の教職員らによる投票で、4割の票を集めていた。学内には公約実現への期待の声がある。   

理系学部の男性教授は「公約通り指定国立に必ず採択されてほしい」。旧帝国大学で申請できていないのは本学のみで「差別化になり、優秀な教員が他大学に流出する恐れがある」との危機感がある。

世界の大学ランキングでも本学の順位が下がっており「教育、研究で上位になれるような施策を打ってほしい」と話した。

前総長の解任問題をめぐり宝金氏が何らかの検証をするとしたことについては「判断が正しかったのかどうか新しい人たちで再評価し、情報を学内には公開してほしい」と要望した。

一方、理系学部の男性助教は「指定国立など大きな物事は説明や構成員の合意の上で進めてほしい」と注文をつけた。

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