【受験特集:どんな道でも、道は道】第2回(2) 高2で中退も進学あきらめず、高卒認定試験を経て北大へ 金井舜平さん(教育学部2年)

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「大学には、いろんな人がいる」そんな言葉は、誰しも一度は耳にしたことがあるだろう。だが、私たちはまだ「いろんな北大生」が北大生になった時の話を知らない。聞けそうで聞けない、在りし日のそんな話を取り上げるのが今回の特集「どんな道でも、道は道」だ。はたから見れば小さな、でもそばにいれば大きな選択にじっと耳を傾ければ、等身大の北大生が見えてくる。

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第2回の主人公は教育学部2年の金井舜平さん(20)だ。多くの受験生が勉強に本腰を入れ始める高校2年生の冬、金井さんは通っていた高校を中退した。「高校を辞めて色々なものを失った。取り返せるのは大学進学だけ」。決意を胸に、高卒認定試験を受験し北大に合格した金井さん。その経歴に記者が迫った。(取材:佐藤)

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順風満帆だった中学校生活、でも「因数分解が分からない」

中学生時代の金井さん(右)(本人提供、一部加工しています)

小学校を卒業した金井さんは、地元の公立中学校へ進む。「部活動見学で実際に見てみるとかっこよかった」と剣道部に入り、週に6日は練習に打ち込むようになった。

クラスでも部活でも友達ができ、「わりと順風満帆だった」と振り返る中学校生活。2年生になると剣道部では部長を務めるようになり、生徒会にも入った。

「最初は入るつもりはなかったけど、立候補者が足りなかったみたいで、生活指導の怖い先生に呼び出されて立候補することになってしまった。なってみると楽しかったけどね」

「中学校でもあまりまじめに勉強しなかった。暗記系の科目や国語の本文の読み込みは全然やらなかったから、定期テストはそこまで順位が高いわけじゃなかった」

社会や国語では低い順位をとることもあったが、幼少期から続けていた英会話のおかげもあり、英語では3年生の時に英検2級を取得するほどの実力になった。

一方、数学では初めて躓いた。

「中3の最初に因数分解を習ったけど、どこまでやればゴールなのかが分からなかった。この式を因数分解しなさいって言われても、どこまでやったらいいのって思っちゃう」

「今まであまり勉強で躓いたことがなくて、わからなくなったときに誰かに助けを求めるという発想がなかった。塾の先生にも学校の先生にも質問せずに、わからないままテストを受けた。数学はいつも80~90点だったけど、初めて70点台をとった」

それでも他の教科の影響もあり、模擬試験では好成績を維持した。数学の苦手意識は高校受験まで変わらなかったが、「流されるままに」志望校に選んだ地域トップの判定はいつもAやB。「休みの日に友達とカラオケに行くこともあった」と笑う金井さんは、危なげなく第一志望の高校に合格した。

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