【受験特集:どんな道でも、道は道】第3回(1) 勉強だけがすべてじゃないけど、受験勉強するといい 黒川滉太さん(文学部2年)

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一点、気になることがあるだろう。理系科目に足引っ張られたのって「なんとなく」しちゃった文理選択のせいだよね、と「なんとなく」理系を選んだ理由を記者が改めて聞くと、黒川さんは「やりたいことがなかった」と答えた。就職に強いってじいちゃんに聞いたから、友達だってみんな理系だから、理系に行くのが「当たり前」だったから。情報量も少ない中で地方独特の「空気」に流され、理系を選んだという。
「あとは、校内順位が低い方が友達関係やりやすいってのもあったかも。成績でカリカリしてるのって、ビリじゃなくてむしろ学年20位くらいのやつでしょ。逆に成績が極端に下の方だとみんな優しくしてくれるし、下の人同士でワイワイやってたから」
途中で理系を諦めることも頭に浮かんだが、文系に転向した理系クラスの友達が物理の授業中に教室の隅で自習をしている姿は見ていられなかったという。
「文転=逃げ、みたいな周りの目があって、逃げて失敗したらと思うと怖かった」
得意科目だった地理が二次試験で使える文理融合型学部の受験を教師に相談したこともあったというが、入試問題との相性などもあって断念した。

わんぱく少年だった黒川さんは、追われるように始めた勉強を経て「なんとなく」選択した理系科目で一気に足をすくわれた。一瞬だけ頭をよぎった「文転」の2文字はすぐに消えていた、そんな受験期を一旦終えて合格通知に歓喜した18歳の黒川さんはまだ、泥沼に一歩目を踏み込んだばかりだ。

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