春の花粉濃度、400メートル間隔でわかる シラカバ花粉の予測システム開発 —北大理学研究院・稲津教授ら

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札幌市内10キロ半径のシラカバ推定分布図。色が濃いほど密度が高い。とくに焼山で高密度だったという(稲津教授提供)

毎年4~6月に道内で花粉症を引き起こすシラカバ花粉について、札幌市内の空中濃度を400メートル間隔で予測するシステムを本学理学研究院の稲津將(まさる)教授(気象学)らの研究グループが開発した。シラカバ樹木の分布に天気予報を掛け合わせて予測する仕組みで、実用化すれば花粉症の患者にとって役立つ。

シラカバは道内の春の花粉症の主な原因になっている。稲津教授らが今回、札幌市内の公園や山林などのシラカバ樹木の分布を、カウンターや地図を手に自転車に乗ったり山道を歩いたりするなどして計測。1年以上かけて、16万本の推定分布図を作成した。本学北キャンパスにも100本ほどあったという。

この分布と最高気温や風、地面からの上昇気流による撹拌(かくはん)といった気象データを組み込んで花粉の飛散をみるシステムを構築した。同システムを使い計算した2001~11年のシラカバ花粉の濃度を道立衛生研究所による観測結果と比較したところ、おおむね一致していた。

気象予測データを入力することで数日先の花粉濃度予測ができるという。稲津教授によると、シラカバ花粉濃度を400メートルの高解像度で予測できるシステムは世界初。「気象予測データを使って来シーズンには実証実験したい」と話しており、上手くいけば最短で22年にもインターネットに公開するなどの実用化が考えられる。

システムで計算した2001〜11年の濃度(赤)と観測結果の比較(稲津教授提供)