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海外への夢、諦めない -コロナ下でも国際交流継続に向け奮闘

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新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化し、留学などの国際交流への打撃は不可避な情勢だ。一方、制限緩和を見据えた模索の動きも出始めている。

留学を取り巻く環境は依然として厳しい。本学国際交流課によると、今年度の本学からの交換留学派遣は9月末出発分までは中止。10月以降の出発分については外務省が設定する危険レベルなどの条件を満たすことで派遣を認めることになったものの、同課が受け持つプログラムにおいて実際に渡航が認められた例はこれまでないという。春休みに行われる短期留学プログラムについては実施の有無を含め検討中だ。本学ホームページによると、海外大学から本学への短期交換留学プログラムも今年度の受け入れが中止となった。

現代日本学プログラム予備課程の学生と日本人学生ら(山田准教授提供)

オンライン授業で留学生を受け入れ -現代日本学プログラム

全ての望みが断たれたわけではない。海外出身学生向けの4年制学士課程「現代日本学プログラム」では、海外からでも受講可能なオンライン授業を活用し留学生の新規受け入れに踏み切った。来年4月の入学予定者を対象とする半年間の予備課程を9月にスタート。同時配信とオンデマンド配信を組み合わせ、日本語を学ぶ授業などをアジアから欧州、アフリカに至る世界各地の19人の学生に提供している。

開講にあたっては個別面談を実施しオンラインでの開講に理解を求めた。同課程を統括している高等教育推進機構の山田智久准教授は学費についてなど受講生からの苦情を予想していたが、「いつかは日本に行けるからオンラインで頑張る」などの前向きな反応が多く「あらゆる点で嬉しい誤算だった」と振り返る。

受講生らを支えるのは日本で学ぶことへの強い意欲。日本人の母親を持つカナダ出身のエミリー・カーさんは「日本の四季を体感したい。漢字を習って小説を読めるようになりたい」と話す。中米コスタリカ出身のミシェル・フローレスさんは日本への渡航を諦めることも検討したが「夢だから待っている」。家族からも「あなたの夢だから」と困難な状況でも日本への渡航を後押しされたという。

最大の壁は時差

オンライン授業への学生の反応は様々だ。ミシェルさんは「つまらないと思っていたが、受けてみたらとても楽しかった」と振り返る。クラスメートとはSNSやゲームでも交流している。

一方、国境を超えたオンライン同時配信授業の最大の壁が日本との時差だ。ミシェルさんの就寝時刻は毎朝4時で「人間は夜行性でないから難しい」と打ち明ける。家族と同居しながらの受講だが、食事も一人でとることが多いという。

学生間のコミュニケーションの課題を指摘する声も聞かれた。タイ出身のアティップ・コクラチャイさんは「実際に会ってみないとコミュニケーションをとっている気がせず、ゲームなどで交流しても親しくなりきれていない」と話す。日本語を実際に使う機会が限られることにも課題を感じているという。

11月以降、制限の緩和などで学生らの日本入国のメドが徐々に立ち始めた。日本での経験やその先のキャリアを見据え、受講生らの前進は続く。

開講の検討段階で山田准教授らが作成した時差対応表

次のチャンスを見定める -交換留学取りやめの北大生

交換留学の見直しを迫られた北大生らも次の一手を模索している。法学部3年の齋藤未衣花(みいか)さんは本学入学前から憧れを抱いていたドイツのミュンヘン大で3月からおよそ半年間、語学や政治学を学ぶ予定だったが、渡航から2週間ほどで緊急帰国を余儀なくされた。当初は一時帰国のつもりでいたものの、ドイツに引き返すことは叶わなかった。

ミュンヘン大と本学いずれかのオンライン授業を選択することができたが、本学の教員から「今できることをやった方がよい」と助言を受け、本学の授業を履修することに。双方のメリットとデメリットを紙に書き出し、本学の履修登録期限直前まで1カ月半ほどかけて悩み抜いた上での判断だった。結局、「前期は気持ちを切り替えられなかった」という。

「大学の後で絶対行こう」。辛い経験を経たからこそ、齋藤さんの次の挑戦への決意は固い。進学を目指している法科大学院在学中の留学も視野に入れつつ「制度がなくても自分で頑張って行けるようにしたい」と意欲を見せる。海外経験の意味は今後も薄れないと信じ「状況が回復してきたら今後も諦めずに頑張りたい」と語った。

文学部3年の荒幹彦(あら・もとひこ)さんも今年度後期に予定していた英国のマンチェスター大への交換留学が中止になった。2年生の時に台湾で半年間交換留学を経験し「欧州とアジアを両方見たい」と志した2度目の交換留学に期待をかけていた。開始時期を遅らせての留学なども模索したものの、感染拡大の厳しい現実を前に今年度の英国渡航は断念せざるを得なかった。

そこで荒さんが代わりに選択したのが台湾での長期インターンシップへの挑戦だ。ワーキングホリデーのビザを活用し、SNS関連の企業で働きながら本学のオンライン授業も履修するという。来年度出発の交換留学にも応募し「あらゆる展開を想定して計画的にやっていきたい」と意気込んだ。

荒さんの周囲には「今年行けないなら諦める」と交換留学自体を断念した学生もいた。「一生に一度の機会が失われた学生もいるのではないかと考えるとかわいそう」と胸中は複雑だ。

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