「はやぶさ2」のサンプル到着 ―理学研究院・圦本教授ら分析へ

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小惑星探査機「はやぶさ2」が「リュウグウ」で採取したサンプルが6月21日、到着した。理学研究院の圦本尚義(ゆりもと・ひさよし)教授の研究グループによって約1年間、化学分析が行われる。

今回はやぶさ2が探索したリュウグウは主に地球と火星の間を公転している(図を参照)小惑星で、太陽系ができた当初の物質などが残っていると考えられる。圦本教授によると、リュウグウの地表サンプルを調べることで太陽系初期にできた鉱物の種類がわかり、太陽系形成初期の環境を推測できるという。

リュウグウ(Ryugu)の公転軌道 (JAXA提供)

はやぶさ2の採取したリュウグウのサンプルの質量は当初予想していた0.1gを大きく超え、約5.4gだった。

またこのサンプルは地球上の生物の体を形成するもとになった可能性のある有機物や水を含んでいると考えられている。リュウグウは炭素を多く含んでいるため以前「はやぶさ」がサンプルを採取した小惑星「イトカワ」と比べて黒い。

本学で行われる分析法は同位体顕微鏡を用いた特殊なもので、原子を秒速500kmほど加速させ、鉱物のサンプルにぶつけることで放出される原子の種類と数を調べることで鉱物の種類を特定するという。

圦本教授は今回の研究について「誰も分析したことがない新しいサンプルを分析できる」とうれしそうに語った。

リュウグウのサンプルの一部(JAXA提供)※JAXAによる初開封時の様子