水玉模様の鳥は、水玉模様に夢中? —北大理学研究院のグループが解明

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本学理学研究院の相馬雅代准教授らのグループは、水玉模様を持つコモンチョウが水玉模様に強くひかれる性質があることを明らかにした。この発見は動物の体表の模様の進化の過程を解明する際に新たな視点を与えるという。

コモンチョウとは?

実験に用いられたコモンチョウ(相馬准教授提供)

同研究で使われたコモンチョウは顔から体側にかけて白い斑点がある。求愛行動時には水玉模様がある部分を膨らませる様子も見られる。餌は主にヒエやアワ、キビなどの穀物。

研究の手法と結果

実験の様子(上)と実験で使われたケージ(下)(相馬准教授提供)

水玉模様の紙とストライプ柄の紙を両端に設置したケージに、空腹状態のコモンチョウを入れて観察。次に餌がある状態で同様の実験を行った。

実験結果として、空腹の状態と餌のある状態の両方でストライプ柄より水玉模様を注視する行動が多く観察された。そのため、コモンチョウは採食に関係なく、水玉模様を好むことがわかったという。中には1時間に500回以上も注視していた個体もいて、相馬准教授は「頻繁に水玉柄を見ていて、強くひかれている印象だった」と実験の様子を振り返る。

研究の展望

同研究の結果はコモンチョウが水玉模様を好むという予測に合致し、これは鳥類ではあまり検証されてなかった感覚バイアス仮説(注)を支持する結果であった。また同研究の結果によって、鳥類の鮮やかな羽の色や、それに起因する模様の進化などを説明できる可能性があるという。

(注) 動物の求愛信号は、信号を受けとる側の受信する感覚器の特性に影響を受けるという仮説。グッピーなどの一部の魚類は体表に餌に似た模様があり、それによって配偶者をひきつけるとされている。