えるむ歌壇【第9回】

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春が立つ 木々の産毛の隙間から観音堂の丹色あざやか

/三石路之

まだ誰もわたしを知らぬ街のなかしずかに揺れる夜のカーテン

/衣井くう

夜の街 酔った女は魚に見える 俺のリールは優しさしかない

/杉本太

言霊は燈火 物憂き恋衣を撫でむとやはき唇開く

/関町静

彼のひとを失つてしまひたい春に勿忘草が咲いてしまふ

/関町静

提供:北海道大学短歌会