北大のポテンシャルや目指すべき方向性とは 国際戦略策定を踏まえシンポジウムで総長・教員・学生らが議論

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国際戦略について説明する横田篤理事・副学長(ライブ配信画面からキャプチャ)

2040年を見据える本学の国際戦略が21年12月に策定されたことを踏まえたシンポジウム(本学国際連携機構主催)が2月17日に開催され、オンラインでライブ配信された。宝金清博総長や本学修了の教員・研究者、在学生らが本学のポテンシャルや将来展望などを議論した。

「頭脳循環する大学」などの目標を掲げた国際戦略

「2040年に向けた北海道大学の国際戦略」は14年に策定された「近未来戦略150」の一環である「Hokkaidoユニバーサルキャンパス・イニシアチブ(HUCI)」の後継として、新型コロナウイルス禍後を見据え策定された。40年に目指す本学の「3つの姿」を実現するため、柱となる「頭脳循環する大学」「流動し課題解決する学生・教員」「サステイナビリティの追求」「進化するマネジメント」の4つの戦略目標を掲げている。数値目標を数多く設定するなど国際化の「量的拡大」を重視したHUCIから「質重視」に方向転換するとともに、コロナ禍で導入が進んだオンライン教育の活用にも重点を置く。

シンポジウムでは前半、横田篤理事・副学長が本学のこれまでの国際化の取り組みを概観するとともに、新たに策定された国際戦略の概要を説明。国際戦略について特に注力すべきこととしては博士課程での正規留学生の受け入れを挙げた。

同理事は質の高い教員と優秀な博士正規留学生の組み合わせが大学全体の研究力を向上させる上で特に重要と指摘し、まさに「人ありき」であると強調。これにより日本人学生や教員の国際性が涵養されることに加え、将来的な留学生の呼び込みにもつながるとした。このほか同理事は、学生・教員の海外派遣や本学海外オフィスの戦略的活用などについても言及した。

議論する登壇者ら(ライブ配信画面からキャプチャ)

本学の強み・弱みを踏まえた国際戦略の方向性は

後半では本学を修了した海外出身の学内外の教員や海外での経験のある在学生らを交えたトークセッションが行われ、総長や理事とともに本学の特徴やポテンシャルなどを議論した。宝金総長は日本各地から学生が集まる本学について多様性のある大学であると指摘し登壇者からは賛同の声が相次いだ。一方で在学生からは「本州の大学と関わりを持つハードルが高いのは弱み」、「国際的な知名度は高くなく、海外でのキャリアを考えると課題もある」といった意見も出された。

今後の展開に関して公共政策大学院の池(ち)直美准教授(法学研究科修了)は「海外経験のない日本人学生が多いことも事実」として学生の背中を押す仕組みの重要性に言及。その上で「セクシャリティや民族など、多様な属性の人が学べる大学にもなれるとよい」とした。在学生からは「(戦略を踏まえて)学生として何ができるかが知りたい」との声も上がった。

横田理事は「それぞれの立場で使えるものは使って、できることを進めていただきたい。タスクフォースを作って戦略の具体化への取り組みを進める」と応じた。宝金総長も「戦略を作っただけではなく、前を見て進んでいきたい」とさらなる取り組みへの意欲を示した。

登壇者らはそれぞれが考える「2040年の北大に期待すること」も発表。自身も留学生である公共政策大学院修士1年のフェルナンド・ウルシネさんは「本学に戻りたいと考える元留学生も多い。(OBOGなども含めた)本学の一体感が来たばかりの留学生にも伝わること(が重要ではないか)」と語った。インドネシア・IPB大のクリストファー・ハニー・ウィジャヤ教授(農学研究科修了)はプラットフォームの重要性に触れ、「今の学生はアイデアがすごい。全世界のアイデアをまとめて大きなプログラムができるとよい」と述べた。