記者12人が選ぶ 2024年のベスト記事

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世界中で様々な出来事があった2024年。その中でも北大新聞は、今年も北大の出来事に密着し続け、北大の「今」を読者の皆様にお届けしてきた。公開した記事は計73本。その中から記者12人が2024年1番良いと思った「ベスト記事」を選出した。12月29日から1月3日の6日間で2本ずつ公開。北大内の様々な出来事を読み返し、2024年を振り返ってみてはいかがだろうか。

①恵迪寮の火災、火元は大学管理のF棟 各社報道にはミスリードも(執筆:小田)

4月10日の恵迪寮の火災。約300人が棟外に避難するなど、現場は騒然。騒然としたのは現場だけではない。「世間の声」も荒れていた。大手メディアの報道は「ミスリーディング」だった。ここで注意すべきは、「決して偽情報が伝えられた訳ではない」ということだ。近年、フェイクニュースのSNSなどでの拡散に対抗してファクトチェック系メディアというジャンルも誕生。ニュースの内容の正当性もチェックされる時代だ。大手はどの事実を伝え、どの事実は伝えなかったのか。記者の「ファクトチェック」とともにぜひ読み解いてみて欲しい。

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②3日間に思いを込めて ~文系祭~(執筆:武田)

文系学部の魅力発信と文系学生の活躍を主な目的に開催され、2024年で4回目となった「文系祭」。毎年6月に開催される「北大祭」の一環だが、メインストリート沿いに展開され来場者も多い「楡陵祭」などの陰に隠れがちである。しかし短歌や推理小説の同好会など、文系らしい展示や販売会がひしめき、企画のポテンシャルは高い。自身も文系である記者が、文系祭の準備段階から綴る文章が目を引く。他大学の記事にインスピレーションを受け、オムニバス記事「北大祭のお片付け」でも採用された時系列表記を取り入れており、読者が文系学生の1人の様に北大祭を過ごす様子を追体験できる。また準備段階、当日の随所に挿入される写真は、祭りの前の高揚感や当日の会場の雰囲気を伝えている。文系サークルそれぞれが発行する冊子についても言及がなされ、冊子の周知にも一役買ったことだろう。まだまだ発展途上の「文系祭」を知る上で興味深い記事であるし、来年以降に文系祭の変遷を振り返るとき、欠かせない記事の1つになることは間違いない。

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③【受験特集:どんな道でも、道は道】第5回 おもろい成川は、どこにいてもおもろい成川や(執筆:高野)

この記事は、北大が第1志望で入学した、という読者にぜひ読んでいただきたい。後期試験で入学した北大生ならではの苦悩というものに、一度目を向けて見てほしい。また、北大生であることにコンプレックスを感じている人にもおすすめの記事だ。在学中の北大生がどのようにして北大生になったのか。その道のりを追う受験特集「どんな道でも、道は道」。この回の主人公である成川さんは、サークル活動や専門・非専門にとらわれない勉強に積極的に取り組む北大生だ。第1志望の大学に行くことができず、後期試験で北大に入学した彼は、入学後ある種のコンプレックスのようなものを抱え、受験に失敗し北大にいることに対するやり場のない焦りや不安を感じていた。しかしサークル活動での出会いをきっかけに、受験を通じて偏狭になっていた彼の考えは変わっていく。そうして成川さんが「おもしろいこと」にどんどん挑戦するようになっていく過程に記者が迫った。

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④黒百合会「全国交流展」開催 全国の作家の作品が一堂に会する(執筆:赤松)

6月初旬に行われた北海道大学黒百合会全国交流展。様々な学年・専攻の学生と全国の卒業生が共同する、新たな交流のための展覧会を取材し、その様子を記事に起こした。会場には多様な表現方法が用いられた現役生や卒業生の作品が並べられていたが、ただ単に展示されていただけではない。交流展や作品の制作者をより身近に感じてもらうために、北大美術部黒百合会は展示にある工夫を施していた。その工夫を知るだけでなく、作者の個性が表れている作品の写真と共に交流展の雰囲気をぜひ味わってみてほしい。

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⑤1400km離れた学生と奏でる 北大×京大ジョイントコンサート2024(執筆:高橋)

生の音楽を奏でる演奏会において、同じ音楽は二度と生まれ得ない。一瞬で流れ去るその1音を、1小節を、1フレーズを、少しでも理想に近づけようと努力する奏者たちにとって、ひとつひとつの演奏会が特別な時間となる。団員でいられる時間が限られた学生奏者であればなおの事、一期一会のなかで奏で、学び、成長していく。本記事では、今夏に行われた、北海道大学交響楽団と京都大学交響楽団のジョイントコンサートを取り上げている。演奏会当日だけでなく、京大オケの団員たちが札幌入りしてからの合同練習の様子にも密着した。普段は混じり合うことのないふたつのオーケストラが、5年に一度交わる瞬間。ひとつの演奏会が(開演と言う意味でなく)始まり、終わっていく過程を裏側・表側から垣間見ることができる記事となっている。試行錯誤を重ねて音楽を作り上げる若き奏者たちの挑戦を追体験すれば、きっとコンサートホールに足を運びたくなるだろう。

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⑥さっぽろのまちをキャンパスに~まちキャン~(執筆:加藤)

 札幌市が抱える様々な社会課題。その解決策を学生団体が主導となって考え実行し、札幌の地域団体と協力しながら、札幌の「まち」を多くの人々が札幌について学ぶ場である「キャンパス」にしようというまちづくり活動、まちキャン。本記事では、活動に際しての地域からの補助金をかけて、各学生団体が学生ならではの視点に立った柔軟で独創的なアプローチを提案するプレゼンテーションが繰り広げられた様子を取り上げている。学生が積極的に地域社会とかかわり、ともに札幌を盛り上げようとする姿勢からは多くの刺激をもらうことが出来る。

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⑦ヒグマによる被害を防ぐには 「ヒグマの会」会長に聞く(執筆:木本)

北海道に住んでいると身近なヒグマの問題。ヒグマといえばかつては山で遭遇するものであり、クマ鈴などで予防が可能だった。しかし、近年街中に出没する「アーバンベア」の増加が問題になっている。この原因を、「ヒグマの会」会長の坪田教授に尋ねた。記事では、ハンター不足の理由について、日本独自の駆除体制の問題に関してまで触れられている。この記事や、記事で紹介された「ヒグマ・ノート」を読み、ヒグマについての理解をぜひ深めてほしい。

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⑧【受験特集:どんな道でも、道は道】第6回 誰のためかは自分で決める 2度目の受験と恩返し(品村)

2回の受験、北大への「再入学」、将来は医者として地元・釧路へ。受験生の数だけ、受験体験がある。さまざまなバックグラウンドを持ちながら北海道、札幌へ進学してきた北大生たちが、北大生になったときの話を辿る受験特集、【どんな道でも、道は道】。第6回は、フロンティア入試で工学部へ入学し、再受験を経て北大の医学生となった主人公・宗石晃尚さんを取り上げる。異色な経歴は一瞬好奇の目を引くかもしれない。しかし記事を読み進めるうちに見えてくるのは、釧路・札幌を舞台に披瀝される家族愛と郷土愛、そして等身大の悩みと生活だ。3篇に渡り公開されており、総字数は1万字近い本記事。でもその分、より正直で、より等身大の姿を、読者は捉えることができる。紆余曲折を経たけれど、「これでいい」と言えた宗石さん。最終章を締めくくる彼自身の言葉は、「進路」や「選択」の前に悩むさまざまな人に届いてほしい。

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⑨【速報】衆院選北海道2区候補者アンケート(執筆:辻川)

2024年10月24日、第50回衆議院議員総選挙が間近に迫る中、北大新聞の歴史上類を見ない試みが行われた。北海道2区の候補者へのアンケート、及びその結果の本サイト上への発表である。北海道2区は北大の学生が多く居住する北区の一部や東区を区域とする。それゆえ、候補者の、学生世代をターゲットに見据えた所見や公約にも注目が集まる。そのような選挙区の事情を背景に、北大新聞はこのアンケートで、「年収の壁」問題や国立大学の現状、就職活動の早期化、若者向けの政策など、学生世代の関心が集まる項目についての各候補者の認識、意見を調査した。回答を見ると、各候補者ごとに政策の細かい方向性や取り組みは様々であったが、上記の項目の現状、問題に対するおおよその認識、展望については候補者同士の足並みが揃っていた。ここから、候補者が学生を重要な支持者層と捉えていることが窺える。学生の政治への関心がいかに重要であるか、読者各位には本記事から読み取ってほしい。

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⑩「旅は恩返し」水産3年のともおさんがアフリカ一周に挑戦(執筆:小田)

恵迪寮生がアフリカ一周に挑戦。単にその話題的な強さ以上にその動機とこれまでの旅で得たもの、それを踏まえてどう「恩返し」するのか、記者が迫った。「ともおさん」はクラウドファンディングや東京同窓会が主催した「ジンパ」での寄付により資金を調達。BeReal.やInstagramなどの各SNSで旅の様子を日々投稿している。12月17日現在も、南アフリカ共和国を訪問した後、ナイジェリアへの飛行機の乗り継ぎのため、一時的にエジプトを再訪中だ。旅に同行していた、同じく寮生の「侍」とも別れを告げ、新たな旅路を歩んでいる。記事とともに各SNSもぜひ確認を。

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⑪愛する劇団と「面白い」道へ 劇団しろちゃんが北海道学生演劇祭で最優秀賞を受賞(執筆:安藤)

北大系劇団サークル「しろちゃん」が、「北海道学生演劇祭」に挑む。「全国学生演劇祭」への出場をかけて、部員全員で力を合わせて小道具や衣装、脚本などを準備する様子に密着した本記事。こだわりのつまった大規模な小道具や衣装の制作、役者決定のオーディションなど、公演を作り上げるまでは様々な努力の過程がある。本番公演を終えて「とにかく楽しかった」と語るしろちゃんの、本番公演までの軌跡と結果を、読者全員で見届けてほしい。

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⑫北大祭のお片付け~終わりゆく北大祭 「饗宴(うたげ)は、げに過ぎ易し」~(執筆:古谷)

2024年6月に行われた北大祭。中でも北大新聞は北大祭の片付けに密着し、3日間のために作り上げられたものが役目を終えて片付けられていく様子を追った(「北大祭のお片付け」熱狂が静寂に変わる時 総括編)。本記事は、北大応援団による最後のイベント「一万人の都ぞ弥生」によって北大祭に幕が下ろされ、静かに片付けに移りゆく様子が描かれている。盛り上がりの後の日常に戻りゆく寂しさを、記事を通して追体験することが出来るだろう。

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