【受験特集:どんな道でも、道は道】第3回(2) 勉強だけがすべてじゃないけど、受験勉強するといい 黒川滉太さん(文学部2年)

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友達が仮面浪人をしていると耳にしたのは、閉塞感を覚えていた秋のある日だ。大学に行かない選択がちらつき始め、初冬には講義室から足が遠のいた。
「行かなきゃって思って8時くらいに支度はするんやけど、自転車を漕いだ先はキャンパスやなかった。走ってる新幹線がよく見えるとこが近くにあったから、昼間からそこでボーっと新幹線見とった」
「なんで受かってしまったんや、って思ってた。落ちた大学の院に行こうって1年から頑張ってる高校の友達もいるのに、おれ何してんのやろって」 

「普通」からこぼれ落ちて、ぼんやりとした負い目を感じた。再受験に向けた勉強をする気は起きなかったが、だからといって大学に行く気も起きなかった。単位を落とした、と実家に帰って話しても、返ってくるのは「がんばれ」の言葉だけ。がんばってるよ、と言いたかったけれど、自分の言葉はのみこんだ。

苦手であっても学び続ける理由は、大学に進むだけでは見つからなかった。徐々に大学に行かなくなった、そんな黒川さんがついに大学に行けなくなった話は、次章に譲りたい。

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