リコーダーの音色で音楽を届ける—北大リコーダーアンサンブル
夕方の北大サークル会館、206号室。記者が足を踏み入れると、そこには軽やかなリコーダーの音色が響いていた。
「三連符遅いですよ」
「そうかな?」
「もう1回いいですか」
「そこのリズムずれてますよ」
「ごめん、変な癖になっちゃってる」
メトロノームが刻むリズムに合わせて、何度も同じフレーズを繰り返す。傍らには黙々と個人練習をする部員の姿もあった。
間近に迫った北大祭へ向けて熱が高まる、「北大リコーダーアンサンブル」を取材した。

「北大リコーダーアンサンブル」は、2014年に設立した北大の音楽系サークル。現在は、今年4月に入会した2人を合わせて、14人で活動している。団体や活動の魅力について、会長の上野壮貴さん(工学部2年)と副会長の植田友悟さん(経済学部2年)に話を聞いた。
北大に音楽系団体は数多くある。なぜリコーダーアンサンブルを選んだのだろうか。
植田さんは、小学校の音楽の授業で初めて触れたリコーダーに「はまった」のだと教えてくれた。中学校・高校では吹奏楽部に所属していたが、大学では音楽を「ゆるくやりたい」と思い、人数も少ない本団体に入会した。
本団体の魅力を尋ねると、「(団体が)小規模なので(ひとりひとりが)目立てるところ」と答えが返ってきた。人数が少ないため、入部してすぐにステージに上がることができる。強豪の吹奏楽部のようにオーディションもなく、ひとりひとりが輝けるのが魅力だそうだ。その言葉どおり、6月の北大祭のステージでは、新入生2人も奏者として出演するという。
活動には苦労もある。
「リコーダー」と呼ばれる楽器には、一般的に音の高さが異なる8種類があり、本団体では5種類を所有しているという。担当する楽器は固定されているわけではない。

「上野さんはバス系、植田さんはソプラノ系」といったように、担当楽器に傾向はあるものの、毎回同じ楽器を担当するとは限らない。楽器ごとに演奏する際の指の間隔や、適切な息の量が異なるのは難しいポイントだ。それでも植田さんは、「だからこそ飽きないですよ」と目を輝かせて答えてくれた。
また、組織としてのリコーダーアンサンブルをまとめる難しさもある。
メンバーの音楽経験は一様ではない。中学校や高校で吹奏楽をやっていた人、リコーダー部に所属していた人、合唱部だった人、音楽系団体にいたことがない人など様々だ。「そういう音楽歴がばらばらの人が集まる方向に持っていくのが難しい、かつ、おもしろい」と上野さんは語る。
「リコーダーが大好きなので、毎日練習したいです」と植田さん。「『ここ直して』って言ってビシッと合ったりとか、成長した瞬間がめっちゃ楽しい」と醍醐味を語る。
そんな2人に北大祭について尋ねると、植田さんは「出演時間は10分しかないけれど、インパクトのある演奏をしたい。リコーダーはみんな小学校でやったことあると思うから、大学生が頑張ったらこんな演奏できるんだぞってところを見せたい」と意気込んだ。
上野さんは、「規模の小さいサークルだから、新規のお客さんがたくさん観に来てくれることはあまりなく、来てくれるのは普段お世話になっている友人や家族が多い。その人たちに、音楽を通して楽しんでもらえたらうれしい」と聴衆への想いを話してくれた。

北大リコーダーアンサンブルの新たな試みとして、今年度はコンクールへの出場を予定している。1月の北海道大会で道代表を勝ち取ることができれば、全国大会に出場できるという。出場するメンバーは、他のメンバーより練習日数を増やしてコンクールへ備える。
北大祭での演目は、「イパネマの娘」「マツケンサンバⅡ」「『アラジン』よりホールニューワールド」の3曲。北大祭3日目の6月7日午前9時から、クラーク会館の大講堂で披露される。
多くの人がかつて触れたことのある身近な楽器が織りなす、豊かなメロディ。北大祭で、ぜひ味わいに行ってみてはいかがだろうか。
(取材・撮影・執筆:品村)
