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敲きのススメ ―伝わる文章の仕上げ方【インスタント説明会・Vol.7】

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こんにちは、編集部TSです。前回から活動の具体的な中身について紹介していますが、今回は敲き(たたき)=記事の推敲についてご説明します。今回の敲きと次回予定している割付(紙面のレイアウト)は、編集部の日常の活動の中でもとりわけ表に出てくることのない作業で、関係者でなければイメージもしづらいでしょう。一方で敲きや割付は旧新聞会時代から続くある種の「伝統」で、奥深いものでもあります。本邦初公開の敲きの実態とそこから得られた教訓をぜひご体感ください!

記事を「議題」として扱います

前回ご紹介した取材や執筆の過程を経て、担当記者が編集部内に共有した記事第1稿を公開に耐えうるものとして会議の場(例外もあるので後述)で磨き上げるのが敲きの工程です。数々のハードルを越え文面として形になった記事が日の目を見るために最後にクリアしなければならない関門であり、北大新聞の言わば「商品」としてのクオリティを確保する重要なステップと言えるでしょう。

敲きでチェックされる主な項目は、①記事全体の構成や方向性は適切か、②内容に誤りがあったり誤読を招くような書き方になっていたりしないか、③言葉使いや文末表現・文の長さが適切か――などです。文章には感覚的な要素も多分に含まれるため、完全にマニュアル化することが難しいのも正直なところです。上記の点をはじめとして、一読者として各々が感じたことや改善点などを全員が納得するまで会議の出席メンバーで出し合います。まずは記事全体に関する指摘がないかを確認し、その後は個々の段落や文ごとに表現を吟味するという流れです。なおチェック項目は1つや2つではありませんが大半はその場で修正が可能なため、敲きで弾かれてボツになった記事はこれまでほとんどありません。

編集部で行われる敲きにはいくつか種類がありますが、ケースバイケースで最適な敲き方を選択するため明確な基準はありません。最も多いパターンは定例会議の場での敲きです。前回の会議後に書き上がった記事を次の会議で順番に議題として扱い、当日以降に公開します。このほか速報性が強く重大な記事はそのためだけに臨時会議を開いたり、分量の少ない速報記事の敲きはテキストのやり取り(チャットなど)で完結させたりもします。

敲きのイメージ(現在はその場で原稿データをパソコン等により修正する方式を採用しています)

今すぐできる敲き実践術

自分が書いた文章を他の人に見せて添削してもらうことは緊張を伴いますし、決して気持ちの良いことではないかもしれません。私も自分の記事を敲きにかける時は今なお不安に感じてしまうものです。しかし数多くの指摘を受ける中で自分の文章のクセを発見することができ、誰が読んでも明快で優れた文章を書き上げる絶好のトレーニングの機会とも言えます。今回は私たちが特に気を付けているポイントから、文章執筆にあたって読者の皆さまにも役立てていただけそうなものをご紹介します。

まずは語順と修飾の問題。「○○が行った□□についての調査」という表現があったとします。この部分のみで判断すると、□□について○○が調査をしたのか、あるいは○○による□□を別な何者かが調査したのか、修飾関係について2通りの解釈が可能になり誤読や誤解の原因となります。もちろん何事にも文脈や前提知識の影響がありますが、その事実を初めて知った読者にも正確に事実関係を把握してもらう必要があります(見出しの場合は特に重要な観点です)。そのためこの場合は「□□について○○が行った調査」か「調査は○○の□□について行われた」とする、あるいは後者の場合は調査の主体を明記するといった修正を加えることで修飾・被修飾の関係が間違いなく伝わるようになります。

続いては文末表現について。具体的には、同じ文字で終わる文(例えば「〜た。」や「〜る。」)を一定回数以上続けないこと、体言止めを重ねて使わないことなどが編集部ではルール化されています。同じ文末表現が重なると単調な文章に感じられ、「つまらない」という印象を読み手に与えかねないほか、体言止めが続くとラップのようになる場合があるため注意が必要です。また「です」「ます」調と「だ」「である」調を混用しないことも重要でしょう。

最後は文の長さ・文章内での対応関係です。編集部では1文の長さが100字以内となるようにしています(文中に引用の「」がある場合は除きます)。これは1文が長いと読みにくいという理由もありますが、文が長くなるとその中での対応関係がわかりづらくなる弊害があることにもよります。また特に意識せずに長い文を書いた場合、主語と述語の関係が途中で噛み合わなくなることも珍しくありません。こうしたことを防ぐためにも、一文一文は極力短くすることが望ましいと言えます。

以上、一部ではありますが編集部メンバーが文章を書く上で日頃注意している事項の代表例をご紹介しました。文章を書く際にはこの記事をお読みの皆さまにも敲きの視点を一瞬でも持っていただき、役立てていただけると幸いです。

今回は編集部で行っている敲きの実態を知っていただくとともに、敲きの実践法を一部ご紹介しました。様々な言葉に日々囲まれて過ごすにあたって敲きの視点を持つことは、大きな財産にもなると思います。そんな利点を感じてくだされば、筆者としてこの上ない喜びです。さて、本の結びのような表現になってしまいましたが、来週以降もインスタント説明会は続きます。次回は編集部のYSが割付についてご紹介します。引き続きお付き合いください!

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