北海道大学新聞創設100周年記念企画『全国学生新聞報道媒体の変化と報道理念』

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はじめに

近年、デジタルメディアの急速な普及や若者の活字離れ、さらには大学を取り巻く環境の変化に伴い、学生ジャーナリズムは大きな転換期を迎えているといえる。かつて「紙面」が中心であった学生新聞の報道活動も、現在ではウェブサイトや各種SNS、ブログなど、多角的な広がりを見せている。

本紙は今年度をもち創設100周年を迎えることとなった。この節目にあたり、全国で同じ志を持つ学生新聞の皆様と手を取り合い、現代社会における学生メディアの「今」と「これから」を社会へ発信する共同企画を立ち上げた。

本企画は、各団体が「紙メディア」や「ウェブメディア」といった報道媒体をどのように選択・運用し、それぞれの報道理念を実践しているかに焦点を当てる。全国の主要な学生新聞様の現状や独自の工夫を一覧化することで、現代社会における学生新聞の生存戦略を浮かび上がらせることを目的とする。

ここでは各紙から寄稿していただいた文をもとに、各大学新聞がどのような変遷をたどったのかを北から順番に紹介させていただく。

1.北海道大学新聞編集部

最初は本紙の紹介から始めさせてもらう。北海道大学新聞は1926年に創刊した北海道帝国大学から続く大学新聞であり、今年で100周年を迎えた。過去の紙面については、LOOKBACK北大新聞にて取り上げているのでそちらの記事も併せて確認してほしい。

——活動内容を教えてください。

北大にまつわる報道を主に取り扱う。北大によるアイヌ民族の遺骨収集問題や、北大と創立年が同じで’26年に150周年を迎えたサッポロビールの記念式典、北大生が愛用する飲食店を取材した「飲食店列伝」など。北大に関係があれば本州へも。

——どのような活動理念を持っていますか

「北大の今を伝える」個人的には「人々に求められる報道より残す価値ある報道」が大切だと思っている。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:北大生
バッファー:教員や事務員を含めた広義の北大構成員を含め、北大や北大生に興味を持つすべての人々(OBOG、受験生、北大生の家族友人など)。

——使用している報道媒体を教えてください

新聞紙・ウェブサイト(X・Instagramも利用)

新聞紙は年に2回発行。時々の代表の采配によって紙面の規模感に多少の差はあるが、ここ数年はタブロイド判のおよそ8面程度の構成で作成している。ウェブサイトは「THE MAINSTREET」という名称で運営中。2018年の復刊以降、執筆された記事は全てここに投稿されている。北大新聞創刊100周年を機にサイトの改修を進めているところだ。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)新聞紙の強みと弱み
 物があることで“新聞”であることの信頼が生まれ、「一読に値する」と思わせることができる。さらに、アナログな報道媒体は、アルゴリズムによって個別化されるネットニュースから抜け出し、無差別に情報を届けることができる。一方で、発行までにかかる費用は学生が運営する大学新聞にとって、頭の痛い問題であり続けている。


(イ)ウェブサイトの強みと弱み
 記事の公開にまつわる諸業務が、紙面の発行に比べて楽で柔軟性が高いこと。割付作業や印刷所への発注、各所に向けた郵送などの手間を全く介すことなく、いつでもどこでも、どんな規模の記事でも公開することができることは大きな利点。しかしながら、インターネット上でこのウェブサイトに到達する人がそこまで多くないため、新たな読者獲得の面で改善の余地が残っている。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

新聞は、学生個人の興味と関係なく報道を届けられること。ウェブサイトは、北大新聞を積極的に読みたい人へ頻回の記事公開が行えること。この二足の草鞋によって、相補的に様々な層の北大生へ情報を届けられる。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

私個人の意見にはなりますが、大学新聞の原始的な活動目標は失われたという前提があります。「学生の声を届ける報道機関」として生まれて、時代の潮流とともにその役割を終えたのが今の『大学新聞』です。強いて言い表すならば、最終便を運航し終えた旅客船であろうか。大学新聞がこの後、誰のために何を報道するのか、なぜ『大学新聞』という形態をとる必要があるのかについて、不明確なままとしか言えないのが私見だ。かつての旅客船が湖一周30分のクルーズ船に払い下げられるのか、改築して再就航するのか、はたまた漁礁となるのか、この先の未来は分からない。さらには、ある日の勢いを取り戻すことが良い未来とも思わない。立ち位置の不明瞭さと将来に向けた問題点の曖昧さにかまけて、惰性で航跡を引き続ける船に乗っていることが現時点で思いつく問題点と言える。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

上段で提起した問題点より微視的な視点で回答するならば、私に編集部の舵取りが任せられているうちは読者数の増加と、人付き合いを網目状に広げていくことの2点を大事にしたいと考える。読者数の増加は報道機関が活動を維持し続けるための十分条件。人付き合いを広げたいのはツテやコネが何より大切だと感じているからだ。

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2.東北学院大学新聞新聞会

——活動内容を教えてください。

東北学院大学新聞会(TGU新聞)は、主に東北学院大学内の報道活動を行っている。大学の行事やイベントに加え、学内学生団体の取材及び宣伝なども手掛けている。さらに、大学サポート会社からのカメラマン業務受託や地方新聞社が主催する記者体験への参加など、体験的知識を高める活動に取り組んでいる。

——どのような活動理念を持っていますか

本会の活動理念は「新聞が全学生を繋ぐ」である。

若年層の活字離れが問題となる現代において、従来のデザインに囚われないポップな大学新聞を発行し、学生に新聞をより身近な存在に感じてもらうことを目指している。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。

メインターゲット層は東北学院大学の学生であるが、卒業生や教職員、時には受験生に向けた記事も構成に組み込んでいる。

——使用している報道媒体を教えてください

A3用紙での掲示、A4用紙の配布、およびSNS(X・Instagram)を活用している。

紙面は見開き1面で掲示・配布を行っている。発行は不定期であるが、月1回の発行を目標としている。今後はウェブサイトの運用についても検討を進めている。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)紙面発行の強みと弱み
 紙での発行は、新聞会創設時より継続している。強み・良さとして、SNSを利用していない層にも届けることができ、学生や大学関係者の目に留まりやすい点にある。また、作り手側としても、紙質や用紙のサイズなどにこだわることができるため、完成時に大きな達成感や満足感を得ることできることも魅力である。
 一方で、印刷手段や学内における掲示場所の確保には頭を抱えている。


(イ)SNSの強みと弱み
 紙での発行よりも多くの読者層を獲得でき、メインターゲットである若年層の学生に読んでもらいやすい。また、フォロワーとの継続的な接点を維持し、次の投稿も定期的に見てもらえるメリットもある。
 一方で、紙での発行用に作成したレイアウトデータをそのまま画像化してSNSに投稿しているため、画質が粗くなり、やや読みにくい点が課題である。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

学生に新聞を身近に感じてもらうという目標を達成するには、日常的に学生が触れているSNSでの発信は欠かせない要素となっている。伝統的な紙媒体での発行と、即時性のあるSNS媒体を適切なバランスで活用することが必要である。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

現状、かつてのような活発的な活動に及ばず、学生新聞は衰退の一途を辿っている。何よりも、過度な慎重さやリスク回避の姿勢が足枷となり、他の報道媒体にはない良さであった「大学生らしい気鋭さ」が失われつつあるように思う。情報を正確に分かりやすく、かつ定期的に伝えることも新聞の役割であるが、学生にしか書けない大学新聞としての各大学「らしさ」は今後もこだわりを持って守り続けるべきであると考える。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

新聞に対して抱かれがちな「堅苦しさ」というイメージの払しょくに努め、より幅広い層の興味・関心を惹きつける活動をアピールしていく。また、組織存続の根本的な課題である、部員数を確保するため、新入生歓迎行事にとどまらず、多くの機会、媒体を活用して部員募集を展開する方針である。

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3.東北大学学友会新聞部

——活動内容を教えてください。

東北大にまつわる出来事を主に取り扱います。東北大の研究成果(プレスリリース)への取材や、部活動・サークル活動への取材がメインで、ネタ記事や書評も執筆。仙台市博物館や宮城県立美術館、光のページェントなど仙台・宮城の出来事も取り扱います。また、年に数回、宮城や東北大出身の著名人に取材する特別インタビューを実施しています。昨年は、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中煕巳委員長(元、東北大助教)、今年は佐竹敬久・元秋田県知事(東北大卒)を取材しました。

——どのような活動理念を持っていますか

「紙面で学内の情報を広げていく」

『東北大学新聞』の認知度を上げていき、東北大のニュースや部活動・サークル情報、そして仙台・宮城にまつわる情報を多くの人に発信していきたいです。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:東北大生
バッファー:教職員や、全国各地の無料定期購読者、東北大志望の高校生

——使用している報道媒体を教えてください

新聞紙、ホームページ、X(旧Twitter)、Instagram

新聞は月に1度、年11回(通常号8回、特別号2〜3回)発行し、約3400部を無料で配布しています。

面数は、基本的に2~4面で、10月号は6面。最近は毎月4面以上の作成を目指しています。

特別号は、4月に新入生向けの「新入生お祝い号」、7月にオープンキャンパスに来場する高校生向けに「オープンキャンパス号」、1月に受験生向けに「受験生応援号」を発行。東北大での配布や、全国の高校への送付を行っています。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)新聞紙の強みと弱み
 ネット上では興味のあるものを1個1個見ると思われますが、紙面であればさまざまな記事が目に入ります。新聞といえば紙というアイデンティティーもあります。一方、近年の物価高に伴う印刷費・郵送代の高騰で、報道部の財政が逼迫しています。


(イ)ウェブサイトの強みと弱み
 ネット限定記事や、紙面に入りきらなかった記事のフルバージョンを掲載できます。また、紙面は写真も白黒ですが、ホームページではカラーの写真を掲載しています。過去の記事や紙面のPDFデータも載せているほか、記事の検索も可能です。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

紙の新聞の制作が第一ではあるものの、『東北大学新聞』の知名度を向上させる上で、X・Instagramでの宣伝やホームページ上での記事公開も欠かせないです。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

大学新聞が誕生した頃は学生運動を取り上げたり、大学批判を繰り出したりと、政治的で過激な媒体であったものの、現在は数ある学生団体の一つに過ぎないです。大学の広報機関の一つとなっています。大学から部費をもらっている以上、表立って大学批判はできず、政治的に中立でなければならないというのは仕方のないことだと思われます。

一方で、大学公認の学生団体(メディア)であることは、箔付けとなります。例えば、著名人や外部の団体に取材をする際、個人として取材することは難しいと考えられますが、「大学新聞」として取材を申し込めば、取材を受けてくれる可能性が高まります。一人ではできないことができるようになるというのが「大学新聞」です。

目標としては、単に歴史ある団体として活動を絶やさないということですが、部員も少数で資金難であるため、どのように活動を継続していくのかが課題です。新聞は「斜陽産業」と言われ、最近の若い人で新聞に興味があるという人は少ないと思われるため、新聞の魅力をどのように伝え、「大学新聞」の知名度を向上させていくかが課題です。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

知名度の観点からは、学生やサークルへ積極的に取材し、学生間での認知度向上に努めます。資金面からは、新規広告を獲得したり、寄付を募ったりなどして活動資金を得ることが不可欠です。知名度と財政の折り合いについて議論を重ねる必要があります。

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4.筑波大学新聞編集部

——活動内容を教えてください。

 筑波大や筑波大が所在するつくば市にまつわることを主に報道する筑波大の広報紙です。筑波大開学翌年の1974年から発行を続け、今年で52年目になります。

 毎号約2万部を発行していて、学内での配布に加え、つくば市役所や近隣の研究所、ホテルなどでも無料配布をしています。

——どのような活動理念を持っていますか

「言論の自由」や「全大学人の立場に立つ」ことなどを盛り込んだ「筑波大学新聞綱領」が筑波大学新聞発足翌年の75年に制定されました。現在でも活動理念となっています。

綱領は以下の三つの項目から構成されています。

  1. 新大学にふさわしい学風の高揚と高い大学文化の創造に貢献することを目標とする。
  2. 言論の自由を守り政治的、思想的に中正公明の立場を堅持し、全大学人の立場に立って真実を追求しこれを報道する。
  3. 大学の教員、職員、学生が参加するコミュニケーションの場であるとともに、広く大学と社会との交流の場とすることを目指す。

個人的には、特に最後の項目の「広く大学と社会の交流の場とすることを目指す」ことを重要視しています。筑波大内のニュースだけでなく、つくば市のニュースなども取り上げて、学内外に新聞を配布することで、大学と地域を結ぶ新聞となることを目指し、日々活動しています。

——主たるターゲット層を教えてください。

筑波大の学生と教職員、卒業生やつくば市民を主なターゲットとしています。

——使用している報道媒体を教えてください

紙媒体・ウェブサイト(筑波大のウェブサイトで紙面のPDF版を掲載)・X(旧ツイッター)、インスタグラム、フェイスブック

紙媒体としての新聞はタブロイド版で12~16ページ。年5回(2月、4月、6月、10月、12月)発行しています。ウェブサイトは大学のサイトに紙面のPDF版を2001年から公開しています。また、速報などはX(旧ツイッター)に投稿しています。大学新聞独自のウェブサイトや記事ごとのインターネット掲載は現状ではありません。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)紙の新聞の強みと弱み
 筑波大学“新聞”として活動していく上で、紙の新聞を発行することは必須だと思います。印刷された筑波大学新聞は学内の15カ所以上にラックを設置し、自然と新聞が手に取りやすいようになっています。また、4月に発行する新聞は新入生歓迎号として、筑波大やつくば駅周辺の飲食店や小売店、レジャー施設などを掲載した「つくばマップ」を掲載し、入学式などで新入生全員に配布しています。筑波大学学園祭(雙峰祭)でも実行委員会と協力して、毎年2000部の新聞を配布しています。多くの学生に手に取ってもらいやすいような配布体制が作れていることが強みだと思います。
 ただ、発行頻度が現在は年5回であることや、原稿の最終出稿から印刷まで日数を要することから、最新のニュースを紙面化することには限界があります。


(イ)ウェブサイトの強みと弱み
 ウェブサイト上に掲載しているPDF版では、紙の新聞と同じレイアウトで読むことが可能です。01年まで遡って当時の紙面を読むことが可能なため、筑波大にとって重要な出来事が起きた当時の状況などが分かることが強みです。また、筑波大開学50周年記念号の英語版や1981年~2024年までの「つくばマップ」など、ウェブ上でしか見られない情報もあります。
 ただし、ウェブ用の記事検索機能はないため、読者が特定のテーマの記事を網羅的に探し出すことは容易ではありません。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

新聞を学内外で配布することで、筑波大の関係者だけでなく地域の方々に読まれる新聞になっていることは、「広く大学と社会の交流の場とすることを目指す」という活動理念に沿っていると思います。ただ、ウェブサイトに記事検索機能がないため、過去から現在までの情報を縦断して、簡便に把握してもらうことは難しい状況にはあります。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

筑波大学新聞は先述した「綱領」にのっとって製作されています。ただし、創刊から50年余を経て、個人的には学生の新聞離れが大学新聞にも及んでいると感じています。編集部に寄せられる紙面に対する学生からの反応が、教職員からの方が多いに比べると少ないように思えます。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

大学新聞である以上、紙の新聞の発行を止めるわけにはいきません。編集長としては、一番の読者である筑波大生に、これまで以上に読んでもらえる報道をすることが肝心だと考えています。編集部の記者たちも筑波大生の一人です。編集長としては、記者それぞれが学生生活を送る中で感じた疑問や体験などをベースに、一般メディアでは報じることができない内容を伝えていくことで、主要な読者である筑波大生により身近な存在となることを目指していきたいと思っています。

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5.拓殖大学新聞部

——活動内容を教えてください。

拓殖大学に関することを学生目線で広報する。主に「高尾祭」や「紅陵祭」といった拓殖大学の伝統的な大学祭や、クラブ・サークル活動に関する内容を扱っている。

——どのような活動理念を持っていますか

「学生目線による広報活動」

大学には大学の広報室があり、年数回の学内誌の発行を行っております。しかし、学生目線で大学の魅力を発信していくことも重要だと思っています。そのために新聞部がクラブ活動として存在していると考えています。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:拓大生
バッファー:高校生(入学希望者)、OBOG等の拓大関係者

——使用している報道媒体を教えてください

Instagram

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか

Instagramは今では多くの若者が利用するSNSの一つであり、多くの大学生や高校生を中心に簡単に見てもらいやすいこと。また、画像やイラストをメインとするので直感的にものごとを伝えることができることが大きな強みだと思っております。一方で、紙媒体の新聞のようにたくさんの情報を詰め込むことはできない点や、簡単になりすましなどができてしまうため信頼性は少し欠けるといったデメリットもあります。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

Instagramを活用することにより、我々がコアとする拓大生には多く見てもらえています。実際にクラブ・サークル活動を載せて欲しいといった声を多くいただくようになりました。また大学の学内誌とは違い、学生が主体となって運用しているので拓大生にはより身近に感じてもらえていると感じます。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

拓殖大学新聞部は、100年以上続く歴史ある大学のクラブ活動の一つでしたが、2020年のコロナ禍により活動を休止していました。形はさまざまですが、多くの大学では、新聞部や広報部といった形で、学生主体で大学の情報を発信する団体が活動しています。その一方で、自分たちの大学にそのような団体がないことを残念に思い、2024年度、2名の学生によって活動を再開しました。復活当初は、大学内のクラブ・サークル活動や大学祭などの行事を中心取材を行い、年数回の紙媒体による新聞の発行を目指していました。しかし、現在の時代に紙媒体で情報を発信しても、多くの学生には届きにくいのではないかと考えました。実際に私の周りでは、学内誌を読んでいるという人はあまり多くありません。そこで、少しでも多くの学生に情報を届けるため、より適した媒体としてInstagramに着目し、大学祭での模擬店や教室展示の様子や、新歓の時期にクラブ・サークル活動に関する情報発信を行ってきました。現状の課題としては、まず、学外への情報発信が十分ではないことが挙げられます。これまでの活動は学内の学生を対象にしてきましたが、今後は高校生や大学への進学を考えている方にも、学生の視点から大学の魅力を伝えていく必要があると考えています。大学の公式ウェブサイトやSNSなどでも大学に関する情報は発信されていますが、新聞部には大学広報室とは異なる学生目線での情報発信をするという役割があると考えています。大学からの公式な情報をそのまま伝えるのではなく、実際に大学で生活している学生だからこそ感じることや、学生の日常、授業や課外活動の様子などを取り上げることで、より身近でリアルな大学の姿を伝えられるのではないかと思います。活動を再開してまだ間もないこともあり、発信の方法や取材対象など、模索している段階ではあります。しかし、学生の視点から大学の情報を発信するという新聞部の役割を改めて考えながら、学内だけでなく学外にも大学の魅力を届けられる団体へと成長していくことが、今後の目標です。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

まずはInstagramでの情報発信を続けていくことが大事だと思います。また、時代に合わせた変化が一番重要だと思っています。私たちは復活の際に新聞部ではありますが、紙媒体での発行ではなくSNSの活用という方針の転換を行いました。今後も活動していくなかで情報の発信媒体だけでなく、内容や活動のあり方を柔軟に対応していくことが大事だと考えております。

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6.上智新聞編集局

「報道媒体と理念の実践に焦点を当て、学生新聞の生存戦略を浮かび上がらせる」というテーマは、厳しい現状に目を向けざるをえないもので、胸が痛い記述ばかりになることを覚悟して引き受けた。

まず、上智新聞編集局(以下弊局)の報道媒体の現状であるが、ブランケット型8面構成で年4回発行している。加えて「上智新聞オンライン」というウェブサイトも動かし始め、XやInstagramでは活動報告をしている。紙面は4、7、10、12月に発行し、取材先や大学での配布、購読者への郵送で読者に届けている。上智大学のニュースや卒業生への取材など、幅広いジャンルを掲載している。

上智新聞オンラインは2024年12月を最後に更新していなかったものを今年7月に再始動させた。7月号で引退する3年生の対談企画を再始動1発目とし、新聞という枠にはまらない自由な内容で投稿している。オンラインの発信を始めたのは、3か月の取材期間に対して8面が少なく、編集会議の際に泣く泣くボツになることもしばしばであった状況を改善するためであったと記憶している。

2年前に資金面での厳しさから発行頻度を年5回から4回に減らした。紙の新聞発行には莫大なお金がかかり、そのマイナスを取り返すのは非常に難しい。2年前の年5回の発行も徐々に減らしてきたもので、全盛期には毎月発行も行っていたこともあるが信じられない。

紙面の強みはその歴史にあると感じている。いくらオールドメディアと言われても、新聞は権威あるマスメディアとして認識されているため、取材相手が「新聞に載るの!?」と喜んでいる顔をよく目にする。きっと相手は誰が書いて誰が読むかなど考えもしないが、新聞であるという事実に興奮しているのであろう。だからこそ私たちは、購読者数も収入も低迷している現実とのギャップに苦しんでいる。皆が思っている「権威ある新聞」にふさわしい状況ではないのが今の上智新聞である。

しかし私は、それこそ学生新聞の可愛げだと思う。学生団体からの広告出稿を何割も割引したり、記事のネタを大学の友達から得たり、読者と距離が近いのも良さだと思う。紙も良いものを使っているため、手に取った人は売られている新聞と変わらない質感にまず驚いている。記事の感想などを知る術がない私たちが感じられる新聞の良さは、中身ではなく外側の部分なのだ。

紙面のデメリットは大きい、かさばる、費用がかかりすぎることだ。配布をしても受け取ってもらえないこともしばしば。多くの人が読む学内の一大メディア(でもない)にしては費用が見合わない。たいていの場合、収支が常にマイナスになり、廃刊に向かって一直線。事実、上智新聞はここ数年、常に廃刊と隣り合わせだ。一方で、ネット媒体は費用がほとんどかからない。その上不定期で更新できるため、情報の新鮮さが保たれることが良さだと感じる。新聞の枠を飛び越えた企画などラフな内容での発信も可能で、幅が広がったと思う。上智新聞オンラインは始めて間もないため、メリットをあまり実感できていないが、デメリットは先ほどと同じ読者の反応が見られないことだろう。

私たちが行っている活動が読者にどのような効果をもたらしているのかは実際分からない。ターゲットは上智大生やその保護者としているが、実感としては自己満足でしかない。一般的な新聞が持つような権威などないのだ。

ここまで書いて、考えれば考えるほど新聞を発行し続ける意味が分からなくなってしまう。上智新聞編集局として首を絞めてまで紙媒体にこだわり続けるのはプライドでしかない。新聞を発行することで資金は減り続ける。しかし権威ある「新聞」を利用してどこまでも自己満足な報道を続けていくことになるのだろう。学生新聞を発行している人たちでその自己満足性に気づけている人はいるのだろうか。少なくとも弊局はそこに苦しんでいる。どこかで誰かのためになっている報道だと信じたいが、新聞の威を借りた学生新聞がいつまで生き残れるのか。読者の反応を得られるようになり、ニーズに沿った活動ができればその権威は本物になると願い、資金調達と取材活動に奔走する。

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7.一橋新聞部(いっきょうしんぶんぶ)

——活動内容を教えてください。

創刊:1924(大正13)年。前年の関東大震災発生後、各地の同窓生に本学(当時は東京商科大学)の被災・復興状況を伝えた「一橋時報(いっきょうじほう)」が発行されたのを契機に、全学規模の学生新聞を発行する機運が高まり、震災の翌年に創刊されました。戦前の発行休止や戦時中の休刊などを除いて発行され続け、2026年7月現在、紙齢は1257号を数えます。

活動内容:本学学長選考に関する話題や学園祭実行委員会への取材などの学内の話題に加え、本学同窓生を中心に国会議員や実業家などへのインタビュー企画なども行っており、最近では地元選出衆議院議員である松本洋平文部科学大臣や、本学経済学部OBの福留朗裕三井住友銀行頭取を取材しました。また、本学が所在する国立市周辺の話題の取材も行っております。

——どのような活動理念を持っていますか

「学生視点の報道を、これからも、この先も。」

「やりたいこと、ぜんぶ」

「社会科学の総合大学」を標榜する本学において、弊紙は唯一の公認学生報道機関です。様々な事象を学生の視点から、社会科学的な考え方に立って検証し、報道することを目指しています。

また、基本的には各記者の興味関心に基づいて企画立案を行っています。それぞれが独立した立場で企画を推進することで、紙面全体としての話題の幅広さや、部内での考え方の多様性を向上することを目指しています。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。

大学内に拠点を置く学生報道機関である点を鑑み、本学学生をメインターゲットとしています。一方、弊紙が成立した歴史的背景から、同窓生や地域住民など、学内と学外をつなぐメディアとしての役割も重視し、ターゲットとしています。

——使用している報道媒体を教えてください

紙面とウェブサイト、SNS(X、Instagram)を使用しています。

紙面は年6回発行しています。特別号や編集スケジュールの関係で前後しますが、基本的には毎号8面で発行しています。

ウェブサイトは、2000年に始めて開設。現在の「一橋新聞WEB」は2015年から運用しています。紙面に掲載した記事を掲載しています。

SNSでは、紙面発行やウェブサイトに掲載した記事の発信などを行っています。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(1)紙面
 手配りなどを通して、学生を中心に読者へ積極的な働きかけができる点は重要だと感じています。また、同窓生や地域住民のみなさんの中には、まだまだ紙媒体の方が親しみやすいという方も少なくありません。
 一方、紙面発行費用の増加は年々弊紙の財政を圧迫しているほか、若者の紙離れが進む中で、メインターゲットへの効果的な働きかけができているのか疑問が残る部分もあります。


(2)ウェブサイト
 ウェブサイトは、費用面や編集面での負担が、紙面の発行と比べて軽いことに加え、紙面とは違い出稿締切や字数制限が基本的にないことが強みではないかと考えます。これにより、速報性が高い記事を迅速に発信したり、紙面の幅を気にせず記事を執筆したりできます。また、キーワード検索などを利用し、興味のある情報に絞って検索することも可能です。
 一方で、ウェブサイトは自発的に検索しなければ到達しない媒体でもあり、たどり着く層をどの程度拡大できるかが重要な鍵となります。現状、ユーザー層の拡大が上手くいっているかは疑問が残ります。


(3)SNS
 SNSはウェブサイト以上に情報発信が容易であるほか、弊紙のコアユーザーになっていない層にも接触できる重要なツールであると考えています。
 一方で、発信できる情報量に限りがあるほか、流し見などにより目にとまらない可能性があるなどの弱点があります。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

先述した情報媒体の強みと弱みは、それぞれ相互補完的に機能していると考えております。本学学生と同窓生・地域住民、コア層と非コア層、それぞれにあった情報媒体を使い分けることで、弊紙のターゲットに情報を届ける体制づくりを目指しています。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点、今後のあり方をどうとらえていますか

大学新聞、ひいては学生新聞は、これから先「学生や同窓生・地域住民など、さまざまな層の人々が交流するハブ」にならなければならないのではないかなと考えます。

私自身、高校時代から学生新聞に携わってきた経験上、学生に対する一方通行的情報発信のツールとしての新聞のあり方はもはや立ちゆかなくなってきたように感じます。「社会の木鐸」と称され、新聞の発信こそ「社会の今、市民の声」だった時代は既に終わりを告げ、報道もまた、社会の一員として、さまざまなステークホルダーとの関係性を重視しなければならない状況になっています。

一方で、近年は価値観の違いによる対立が激化し、社会全体が排他的になっているように感じられます。こうした背景には、互いの考えを通わせる機会が失われていることがあるのではないでしょうか。

このような状況を考えると、記者だけで作り上げる媒体として学生新聞を捉えるのではなく、さまざまなバックグラウンドを持つ読者に受け入れられ、価値観の違いを超えて互いの考えを交流させるハブとしての学生新聞を目指していくべきだと考えます。

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8.東京都市大学新聞会

東京都市大学新聞会は、武蔵工業大学を源流とする理工系大学において活動する大学公認の特殊団体である。大学当局や後援会から活動資金の提供を受けつつ、キャンパスの出来事や学生の声を伝えるべく、紙媒体とWeb、SNS、noteを組み合わせた報道活動を行っている。理工系の学徒が自ら筆を執り、技術と社会の関わりを言葉にしていく場として、学生新聞の役割を改めて問い直したいと考えている。

文学部や社会学部のように文章を書く訓練を受けた学生が多数在籍している大学とは異なり、東京都市大学には理工系の学生が中心に集う。そのような大学で理系学生が記事を書き続けること自体に、報道のあり方を考えるうえで大きな意味があると考えている。水素エネルギーの活用や原子力発電、ゲノム編集、リニア中央新幹線など、技術と社会の関係をめぐる論点は多い。こうしたテーマを考える際には、技術そのものの仕組みだけでなく、それが社会にどのような影響を及ぼすのかを考える必要がある。理工系大学に学ぶ私たちだからこそ持っている専門的な知識や問題意識を生かしながら、技術を無条件に肯定するのでも、リスクや問題点だけを強調するのでもなく、できるだけ多面的に考え、読者に伝えることが、私たちが筆を執る意義の一つだと考えている。現在、新聞会が用いている報道媒体は大きく4つに分かれる。第一に、自団体のホームページ上で公開するWeb記事であり、ここが最も重要な「記事の母体」である。各会員が署名付きの記事を投稿できる体制を採用し、多様な視点が集まる場として運営している。第二に、そのWeb記事から抜粋して編集し直す形で年二回発行している紙の新聞である。第三に、XとInstagramという二つのSNSを広報用の媒体として運用し、記事更新のお知らせや部員募集などを行っている。第四に、noteを補助的な媒体として活用し、活動報告や部員紹介など、新聞記事とは異なる、よりカジュアルな内容を発信している。ホームページは、落ち着いて読んでもらえること、後からキーワード検索で過去記事を探しやすいことが強みである。その一方で、リンクを踏んでもらわない限り目に入らないため、「新聞会という存在そのものを知ってもらう」には限界がある。そこで紙の新聞は、その弱点を補う役割を担っている。キャンパスのラックに紙面を差し込んでおけば、調べなくても学生の視界に自然と入る。紙の新聞の一覧性や物理的な存在感が、偶然の出会いを生みやすい点は一般紙でも指摘されており、学生新聞でも同様に重要だと感じている。

年二回の紙新聞には、それぞれ明確な届け先がある。四月に発行する新入生号は、大学当局の協力を得て、入学時に配布される書類一式に折り込んでもらっている。十一月の世田谷祭号も、学園祭のパンフレットに折り込む形で全来場者に行き渡るようにしている。こうした配布方法によって、新入生や学園祭の来場者など、普段は新聞ラックに足を運ばない層にも、新聞会の存在と紙面を直接届けることができる。一方で、こうした折り込み配布を実現するためには大学当局の協力が不可欠であり、その分紙面の内容についても、大学との信頼関係を意識する必要がある。新入生号や世田谷祭号では、大学や学園祭の公式情報と並んで配布される性質上、記事のテーマ選定や表現について一定の配慮が生じることもある。しかしそれは単なる制約ではなく、「大学という場の中で、どのように批判性と公共性のバランスを取るか」を考える契機でもあると捉えている。理工系大学の学生が、自らの専門性を活かして技術やキャンパスの課題を論じる際にも、大学当局や読者との対話可能性を意識しながら紙面をつくることは、報道理念を具体的に実践する一つの形だと考えている。

SNS(X・Instagram)は、紙面やWeb記事の更新を知らせる広報媒体として位置づけている。拡散力やリアルタイム性が強みである一方で、タイムラインの流れが速く、記事がすぐに流れてしまうことは弱点でもある。そのため、あくまで本体の媒体に誘導する「入口」として運用している。noteは、一般的なプラットフォームであるがゆえに検索を通じて新聞会を知らない人にも情報が届く可能性があるまずnoteで新聞会の活動や雰囲気を知ってもらい、その後にホームページや紙面へ関心を広げてもらうことで、各媒体の弱点を相互に補い合う構造を意識している。

東京都市大学新聞会の報道理念は、理工系大学に集う学生の視点から、キャンパスの出来事と技術・社会の課題をできるだけ正確に、わかりやすく伝えることである。紙の新聞は、私たちの存在を物理的に示し、普段から新聞を読む習慣のない学生にも存在を知ってもらうための手段である。号数を重ねる紙面と、検索しやすいWeb、拡散力のあるSNS、間口の広いnoteを組み合わせることで、理工系学生が筆を取り続けることの意義を、学内外の読者に少しずつ伝えていきたい。今後も、技術分野の世論形成に関わるテーマについて、東京都市大学新聞会ならではの視点から発信を続けていくつもりである。

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9.東京経済大学新聞会

——活動内容を教えてください。

新入生向け雑誌『THYME』の企画編集および、年4回の『東経大新聞』の発行を行っている。『東経大新聞』では、学内のニュースや学生、部活動の取り組みだけでなく、地域社会(国分寺)と大学との関わりを中心とした報道活動を展開。また昨年から各種SNS(X、Instagram、YouTube)を組み合わせた情報発信にも力を注いでいる。

——どのような活動理念を持っていますか

東京経済大学新聞会会則に基づき、本学内における学生の自主的な報道機関として、学問の自由と学生の生活と権利を擁護し、学生生活を充実させるために、平和と民主主義の精神に基づき、常に真実を追求し、それを報道するとともに文化の発展に寄与することを目的とする。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:東経大生
バッファー:大学教職員、受験生、卒業生(OB・OG)、および国分寺を中心とした地域住民の皆様

——使用している報道媒体を教えてください

東経大新聞:年4回(5月、7月、10月、12月)の発行。本学の魅力を東経大生やその他教職員へ発信するため、紙面での配布に努めている。基本的には6面の構成で作成している。

THYME:新入生向け雑誌であり、企画から制作まで4か月を要するなど新聞会が最も力を注いでいる媒体。東経大生だけでなく、受験生にも配布する機会があることが特徴の1つである。近年はA4サイズからA5サイズに移行し、携帯性だけでなく、読みやすさも向上させた。

SNS(X、Instagram、YouTube):SNSの普及に伴い、昨年から新聞以外の媒体にも力を注いでいる。YouTubeでは以前より『THYME』で行っていた誌面企画「コーデ紹介」を映像化することで、文字だけでは伝わりにくい服装や学生の雰囲気まで見せられるようになった。またYouTubeは数年にわたって視聴され続けるストック型コンテンツであり、動画が東経大の魅力を伝える「資産」として残り続ける点も特徴である。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)東経大新聞の強みと弱み
 紙媒体のため信頼性が高く、発行後も手元に残ることが強みである。また一目見ただけで本学の魅力が伝わるような記事、レイアウトとなっている。一方で印刷費などのコスト面での負担が大きい点や、記事作成から発行までに時間がかかる点が挙げられる。また近年はネットが主流ということもあり、手に取ってもらう機会が年々減少傾向にある。


(イ)THYMEの強みと弱み
 新入生が入学した際には全員に配布されるため、入学して早々に本学の魅力を最大限に伝えることができ、新聞と同じく手元に残ることが強みである。またオープンキャンパスでは、入試課と協力して受験生に配布し、大学生のリアルな日常や本学での学校生活の魅力を伝えられた。(昨年は260部、今年度は500部を配布予定)しかし、新聞発行以上にコストがかかることや制作に時間を要することが挙げられる。


(ウ)SNSの強みと弱み
 SNSは新聞発行の告知をスムーズに配信することができる。また動画コンテンツを活用し文字だけでは表現できない本学の魅力を発信でき、東経大生だけでなくより多くの方々へ情報を届けることができる。しかし、動画編集のスキルが求められることやその人のセンスやスキルに依存しやすく、引き継ぎの際にはクオリティや投稿頻度が途切れる恐れがある。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

『東経大新聞』並びに『THYME』は学生が手に取る機会がある媒体であり、SNSは自ら検索してもらう、もしくは偶然目にしてもらう媒体である。それぞれの媒体を使い分けることで、新聞会が学生に届けたい情報を多くの学生に伝えることを目指している。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

現会長の代で99代を迎えた弊会は、本学唯一のメディア団体としての役割を担ってきたが、現状は課題だらけである。新聞を発行したとしても、手に取ってもらえる機会が少なく、SNSを用いて発行の告知を行っているものの改善傾向にはない。部員の中には「せっかく作ったものの、手にとってもらえないことが悔しい」「自己満足で終わっている感覚がある」など学内メディアとしての存在意義が年々問われ続けていると感じた。また単に学内の出来事を伝えるだけでは学生の関心を引き続けることが難しくなっており、「学内イベントだけではなく、政治や時事問題といった大学や地域とは関係のない内容を組み込むべき」という意見があるなど、学生の関心に応え続けるコンテンツの模索が続いている。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

上記の問題を解決するため、紙面だけに頼らない情報発信の体制を整えていく必要があると感じた。東経大新聞を読者に読まれやすくするため、WEBサイトやnoteといったプラットフォームの活用を検討している。また学生課の協力を得ながら、学生が日常的に利用する学内システム「TKUポータル」内に新聞のPDFや告知を掲載できないかといった連携案も含め、情報発信に向けた取り組みを強化していく。

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10.東京理科大学新聞会(TUSPRESS)

——活動内容を教えてください。

現在はウェブ記事を中心として、学内のニュースや、サークル・学生団体への取材報道を行っている。また、紙媒体である情報誌「tus+」の発行や、当会が独自に運営する「サークルデータベース」の制作も手掛けている。

——どのような活動理念を持っていますか

「理科大をもっとおもしろく」

単なる事実の伝達にとどまらず、学生生活をより豊かで興味深いものにするため、多角的な視点から情報を発信し、学生や教職員、さらには地域社会を繋ぐ架け橋となることを大切にしている。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:本学学生(東京理科大学の学生)。
バッファー:本学のOB・OGや本学受験生(高校生)、教職員、および東京理科大学や理科大生に興味・関心を持つすべての人々(周辺地域の連携店舗や協賛企業等を含む)。

——使用している報道媒体を教えてください

ウェブ媒体および、紙媒体(情報誌「tus+」)。現在、「新聞」という形式での紙媒体の発行は行っておらず、日々の報道活動はウェブ記事を中心に行っている。紙媒体としては情報誌を年に2回発行しており、春にはサークル特集の欄を設けた「tus+4月号(新歓号)」などを制作・配布している。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)紙媒体(情報誌)の強みと弱み
 最大の強みは、オープンキャンパス等で来校される本学受験生や、本学のOB・OGが大学を訪れた際に、直接手に取っていただきやすいことである。専用ソフト(InDesignやIllustrator等)を駆使して構築した質の高いレイアウトを物理的に届け、直感的に大学の雰囲気を伝えることができる。一方で、発行に係る費用が高額になりやすい点が大きな弱みである。


(イ)ウェブ媒体の強みと弱み
 日々の報道を迅速に行える点や、サークルデータベースのように情報へのアクセス性が高く、学生が必要な情報をピンポイントで検索できる点が強みである。しかしながら、自発的にサイトへアクセスしようとする層にしか情報が届きにくく、受動的な層に対するリーチが課題として残っている。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

主軸であるウェブ媒体を用いてタイムリーな報道や網羅的なデータ提供を行う一方で、発行コストがかかる紙媒体は、来校者や学生が偶然手に取る機会を創出するために活用している。この使い分けにより、在学生からOB・OG、受験生まで多様な層へ「理科大のおもしろさ」を届け、人と団体を繋ぐという理念を実現している。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

かつての「学生の声を代弁する報道機関」から、「キャンパスライフを豊かにするための情報キュレーションメディア」へと立ち位置が変化している。当会における最大の問題点は、理系単科大学という性質上、日々のレポートや実験、あるいは教職課程などの過密な学業スケジュールと、メディア制作の両立が非常にシビアであることだ。限られた時間と人的リソースの中で、いかにして高度なデザイン技術やデータ処理のノウハウを次世代へ継承していくかが、常に悩みの種となっている。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

学内の団体や、周辺店舗など外部の組織との渉外・連携を深め、新聞会にしか作れない「人との繋がり」を活かした独自のコンテンツを生み出していくこと。正確な取材に基づき、読者が真に求めている情報を精密にデータ化し、デザインの力で魅力的に発信し続けることで、「理科大をもっとおもしろく」する不可欠なメディアとして確固たる地位を築いていきたい。

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11.中央大学新聞学会

——活動内容を教えてください。

学内の諸問題を始め、学生・教職員・部会(サークルと部活動)・イベント・講演会など、中央大学の今を知るための情報を掲載している。また、学内記事以外にも学外の著名人、卒業生の活躍、就職活動情報など、多彩な紙面を届ける。

なお、体育連盟所属の部会活動は中大スポーツ新聞部の発行する「中大スポーツ」で報じられている。

——どのような活動理念を持っていますか

「客観、独立、公正」

1928年の創刊以来、戦時中の一時期を除き、現在に至るまで中央大学の今を伝えてきた小紙はその中で培った信頼を大切にしている。特に対立のある話題に関しては政治的・思想的な立場の偏りがないように中立の立場で報じることを意識している。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:中大生
バッファー:教職員や事務員、OBOG、受験生、中大生の家族や友人

——使用している報道媒体を教えてください

新聞紙・ウェブサイト(X、Instagramも利用)

新聞は年に4・5回発行。ブランケット判のおよそ4面構成で作成することが多いが、新歓号である4月号に限り8面構成にしている。

ウェブサイトは「中央大学新聞オンライン」という名称で運営している。投稿内容には紙面の記事の続きもあれば、速報性を重視したオンライン限定記事もある。学内の他部会の協力を受けながらサイトを改修中。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(1)紙面
 当会は関東で関わりのある大学の新聞発行団体の中では最も伝統的な紙面の形を重視してきた団体の一つであると感じている。学生個人の興味、アルゴリズムに左右されずに多様な情報を届けられる。近年は中大生よりも大学職員、受験生、その他訪問者の方が紙面を受け取ってくれている実感がある。学生の間での「新聞は時代遅れ」という認識は強い。


(2)ウェブサイト
 記事執筆から公開までにかかる作業が少なく、速報性を実現できる。
 現在は定期的な記事の公開のために体制を再考している。SNSを活用して、ウェブサイト到達者をどれだけ増やしていけるかが課題。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

新聞は学生個人の興味・思想に関係なく多様な情報を届けられるため、会是を最も純粋に反映できる媒体であると考えている。ウェブサイトはデジタル時代に適応し、速報性のある報道を実現するうえで重要な媒体である。紙面の中大新聞を知らない人にとってはその「入り口」となり、既に知っている人にとってはより深い情報にアクセスする場ともなる。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

新聞という媒体が時代遅れであるという認識が人々の間にあることは動かしようのない事実だ。ここからは私個人の意見が含まれるが、紙媒体での報道の魅力の低下は新聞の作り手の減少にも繋がっているのではないだろうか。私自身は高校から新聞部に入っているが、高校時代はターゲットとするコミュニティ(高校・地域)が小さく、全校一斉配布が可能であったため、自分たちの発信力への不安は小さかった。大学新聞は大学を中心に広く社会に発信する側面があり、SNS・ネットメディアの普及による新聞の地位低下の影響を強く受けている。そうした中で、高校新聞出身者でさえ大学新聞製作の場に入ることに魅力を感じにくいという印象がある。SNSを活用し、電子版の記事のインプレッションを増やして報道機関としての存在感を高めること、紙面の形を維持して元々の理念を守ること、この2つを両立するためには多くのマンパワーが必要だ。それだけのマンパワーを集められるだけの魅力的な組織づくりの知恵を全国の大学で共有する場を作ることは大学新聞の生き残りのために有効な一手なのかもしれない。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

困難な道のりかもしれないが、上述した電子版と紙面版の両立のために努力していきたい。また、当会はコロナ禍の活動停止を経て復活した関東学生新聞連盟に加盟している。そこで知った他大の活動を参考により魅力的な組織づくりに努めていきたいと思う。

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12.近畿大学新聞会

——活動内容を教えてください。

2025年度に創設された新しい学生メディア団体です。近畿大学における文化会・独立団体・自治会などの各種団体の活動取材をはじめ、近大生の日常に密着した生活情報や就職活動に関連する独自取材、他大学との連携企画などの発信を行っています。

——どのような活動理念を持っていますか

「スポットライトの当たりにくい熱量と、近大生のリアルな日常を繋ぐ」

大学内では体育会などの目覚ましい活躍に注目が集まりがちですが、私たちはその陰に隠れがちな文化会や独立団体などの「知る人ぞ知る一生懸命な活動」にも光をあてたいと考えています。スポットライトが当たりにくい場所にある情熱を届けるとともに、学生のリアルな暮らしや将来に直結するコンテンツを発信し、近大に関わるすべての人々の日常と熱量を繋ぐメディアを目指しています。

——主たるターゲット層(コアターゲット)と広義のターゲット層(バッファーターゲット)を教えてください。


コア:近畿大学の全学部生(特に文化会・独立団体等の所属学生や、日々の生活・就活情報を求める学生)
バッファー:教職員、近隣住民、他大学の学生、保護者、OB・OG

——使用している報道媒体を教えてください

ウェブサイト、各種SNS(X、Instagramなど)、note等のデジタルメディアを主要な発信媒体として運用しています。創設間もない団体であるため、まずは小回りの利くデジタル発信を中心に基盤を整えつつ、将来的には紙面(フリーペーパーや号外等)の発行や学内配架も視野に入れて検討を進めています。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)ウェブサイト・SNS(デジタルメディア)の強みと弱み
強み:発行・投稿までのスピード感と圧倒的な柔軟性です。一人暮らし向けの情報やタイムリーなイベント取材など、学生が「今」必要とする情報を即座に届けることができます。また、SNSを活用することで視覚的な訴求が可能となり、若者の生活導線に自然に溶け込むことができます。
弱み:情報がタイムライン上で消費されて流れてしまいやすい点や、インターネット上で自発的にアクセスしてくれない層への到達に課題が残る点です。


(イ)紙メディア(今後導入・検討中の媒体)の強みと弱み
強み:手に取れる「実体」があることによる信頼感や、学内での偶発的接触(偶然通りかかった学生が目にする等)を生み出せる無差別性が最大の強みです。
弱み:印刷費等の発行コストが発生する点や、作成・割付に多大な時間と労力を要する点です。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動理念とどのように関係していると考えますか

私たちは「日常に寄り添うこと」と「隠れた熱量をしっかり届けること」を理念に掲げています。SNSやWeb記事の即時性・拡散力は、生活に直結するコンテンツ(スーパー攻略ガイドや就活情報)を学生へ素早く届けるために不可欠です。また、文化会等の深い思いやストーリーをWeb上にストックしていくことで、いつでも読み返せるアーカイブとしての価値を生み出せます。デジタル媒体の「関心層への偏り」という弱みに対しては、他大学との連携企画や、将来的には紙面展開を組み合わせることで相補的に補い、より広い層へアプローチしていきます。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

「新聞」という言葉に対して、若い世代が「堅苦しい」「古臭い」というイメージを抱きがちである点が最大の壁です。また、本学においては体育会系以外の文化会や自治会、さらには「一般学生のリアルな日常」を取り上げる学内メディアが手薄になっていたという課題がありました。

創設直後の当団体としては、既存の固定観念を打破し、「自分たちの日常や活動に関係のある親しみやすいメディア」として認識してもらうためのブランディングと認知拡大が急務であると考えています。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

私たちは「新しく面白い、みんなの日常を繋ぐメディア」として次の3つの方針を軸に活動を展開していきます。

1.隠れた熱量へのスポットライト:目立ちにくい場所にある文化会・独立団体・自治会等の「知る人ぞ知る情熱」に徹底的に寄り添い、取材・発信を行うこと。
2.リアルな日常への寄り添い:「一人暮らし向け周辺スーパー攻略」や「注目企業への独自取材」といった、学生の生活や将来に直結する実用的なコンテンツを拡充し、日常的に頼られるメディアになること。
3.学外・他大学との連携:他大学の新聞部・報道サークルと手を取り合い、広域的な視点を取り入れた連携企画を実施していくこと。

「新聞」という枠組みにとらわれず、学生の熱量とリアルな生活を結ぶハブとなることで、現代における新しい学生メディアの姿を提示していきたいと考えています。

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13.立命館大学新聞社

——活動内容を教えてください。

立命館大学内の情勢やキャンパスが所属する地域に関する報道を行う。学生自治組織である立命館大学学友会の活動や大学の取り組み、学生の課外活動、周辺地域のお祭りや学生街など。立命館大学に関することであれば関西圏外でも取材を行い、過去の事例では明治神宮野球大会や富士山女子駅伝などが挙げられる。

——どのような活動理念を持っていますか

一、生きる権利にはじまる学生の基本的人権の擁護・発展に寄与する。

一、平和と民主主義を教学理念とする立命館大学のさらなる民主化に寄与する。

一、真に立命館大学に学び研究する全ての学生の学生による学生のための新聞を目指す。

一、「立命館大学生独自の要求と課題に基づいて、民主勢力の一翼としてたたかう」とともに「学び研究する活動、文化・スポーツ活動を通じ、広い教養と深い専門知識を身につけ、将来も日本の民主的発展に貢献できる優れた民主的知識人、勤労者となる準備をする」すべての立命館大学生とともに歩む。

一、権力からの弾圧や暴力に屈することなく、事実に基づいた真実を報道するとともに、科学的先見性を持った主張を打ち出し、世論形成に努める。
 (立命館大学新聞社 規約・綱領より)

——主たるターゲット層(コアターゲット)を教えてください。

立命館大学学部生(学外に対しても紙面の郵送を行っている)

——使用している報道媒体を教えてください

紙面・ウェブサイト(X・Instagramも利用)

紙面は年に5回程度発行。時々の代表の采配によって紙面の規模感に多少の差はあるが、ここ10年はタブロイド判のおよそ4面程度の構成で作成している。紙面は各キャンパス内に設置されたラックに配架している。また、ウェブサイトの運営も行っている。2014年度以降の紙面のデジタル版や、執筆された記事は全てここに投稿されている。2018年頃にサイトがリニューアルされた。そのほか、XやインスタグラムなどのSNSを活用し、ウェブサイトに投稿した記事をより多くの読者に見てもらえるように取り組んでいる。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか


(ア)紙面の強みと弱み
 紙面の強みとしては、いつでもどこでも読むことができ、ウェブサイトと異なりレイアウトによって記事の重要度が一目でわかるという点であると考える。逆に弱みとしては、発行まで時間が掛かることが挙げられる。本紙や紙面の印刷を外部に依頼しているため、入稿の〆切から発行までの時間が空いてしまい、必ずしも速達性のある記事を提供できないという課題がある。


(イ)ウェブサイトの強みと弱み
 紙面と異なり、行数に制限がないため、記事の内容に合わせて分量を調整できるほか、時間に囚われず速達性のある記事を報じることができることは大きな強みであると考える。

——上で挙げた報道媒体の強みと弱みが活動とどのように関係していると考えますか

上記の媒体を用いることで、学内の情勢について広く学部生に知ってもらえるほか、本紙の報道が学生大会での提議の材料とされるなど、本紙の報道は一定程度、学部生の世論形成において影響を与えているものと思われる。

——現状の『大学新聞』の立ち位置と問題点をどうとらえていますか

そもそも新聞という紙メディア自体が廃れつつある現在において、大学新聞という存在に求められている役割がどういったものであるかということを考えなければならない。大学新聞は一般紙などとは異なり、大学内という属性柄、人の入れ替わりが激しく世代によっても報道の姿勢や在り方が変わってくる。また、一様に大学新聞といっても、その組織的意味合いや役割は大学によって異なる。本紙の場合は立命館大学の学生自治組織である「立命館大学学友会」の中央事業団体として位置づけられている。こうした中で、大学や学生自治組織に対してどういった距離感・姿勢で関わっていくべきか、政治的イデオロギーや信条が関わる事象に対し、どこまで踏み込んだ報道を行っていくべきであるかということは常に課題として存在している。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

新聞というメディア自体が、紙面での報道を縮小しウェブサイトやSNSを通じた報道に重きを置く傾向となっているように、本紙を含む大学新聞においてもウェブメディアを中心とした報道へと変化しつつあり、今後もこの流れは変わらないと考える。しかしながら、たとえ媒体や情報発信の手段が変化したとしても、果たすべき役割は何ら変わらない。これからも生き残り続けるには、綱領に書かれている「全ての学生の学生による学生のための新聞」ということを忘れずに、立命館大学生の目線に立つことを何よりも重視し、他紙では届かないミクロな視点や、異なった視点から報道することで、立命館大学内での世論形成を行っていくことが何よりも大切だと考える。

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14.京都大学新聞社

——活動内容を教えてください。

1925年設立の京大公認の学生新聞サークル。

京大に関連するニュース・文化記事を中心に執筆。ニュース面では京大の国際卓越研究大学(卓越大)認定や総長選考、学生寮をめぐる問題や大学生協における諸改革などを重点的に取材している。文化面では展覧会や映画、書籍の評論、京大内外で実施されるイベントを扱っている。また、編集員個人の関心や問題意識に基づく企画にも取り組んでおり、これまで京大新聞の活動をおせちの具材に例えて紹介する企画「重箱に詰めた京大新聞あれこれ」や、教員の研究内容を深掘りしたインタビュー企画「研究の現在地」シリーズ、「コーカサス諸国紀行」「浪人体験記」などを掲載してきた。

——どのような活動理念を持っていますか

「権力にアカンベエ!」

中期に「ファシズムにアカンベエ」という理念を掲げていたことに由来する。時代は変わり標語の捉え方には変化があるが、大学と学生の発言力の差に配慮しつつ、多様な声を盛り込むことを心がける姿勢に通底している。独立採算という点も、大学に対する冷静な取材・執筆を可能にしている。

——主たるターゲット層(コアターゲット)を教えてください。


①販売ボックス…学内7箇所で無人販売。京大生、近隣の方々や観光客が主なターゲット。
②定期購読者…京大生の保護者や卒業生が主なターゲット。
③学内頒布…学内の郵送システムを利用し全ての部局・研究室・サークルに頒布。京大生と京大教職員が主なターゲット。
④SNS…Web記事公開時にSNSにも投稿。京大生を含む、SNS上で京大の動きに関心を持つ方々などが主なターゲット。
⑤ネットショップ…自社サイトで過去の紙面も含めて販売。遠方の方やバックナンバーを購入したい方が主なターゲット。

——使用している報道媒体を教えてください

新聞紙、ウェブサイト(X、Instagramも利用)。

新聞紙はおおむね月2号(1日号と16日号)、年間18号発行。うち5号を特集号として設定し、内容の満足感などの向上を図っている(平常号は4〜6面発行が主。特集号は8〜10面発行が主)。記事は紙面掲載の翌月からウェブサイトで順次公開しており、同時にXに投稿している。ウェブサイトは1998年に開設し、爾後幾度かのリニューアルを経て今に至る。

——使っている報道媒体の強みと弱みをどうとらえていますか

記事を紙面上にレイアウトする際、編集部内の認識共有に基づいた各記事の優先順位を反映させている。そのため紙面を一見したときに期待される通読順序を設けており、読者と記事との邂逅は偶然性/セレンディピティに下支えされるという長所がある。また、個人的な感慨ではあるが、時に困難なレイアウト作業をやり遂げることや自身が執筆した文章が新聞紙上に印刷されることが達成感を強める。一方で紙媒体はネット上の媒体などと異なり波及性や速報性に乏しく、この要素は京大新聞をマスメディアではなくミニコミたらしめるものだと考えられる。時に速報性が求められる記事はSNSを利用した速報・早期掲載によって紙媒体の弱みを克服しようと努め、両媒体が相互補完的な役割を担っているが、現状、ウェブ媒体を紙媒体に従属するものだとする位置付けが編集部内では強い。

——今後、『大学新聞』として生き残るためにどのような方針で活動していきますか

今般、そもそも新聞自体がメディアとして、産業として、読み物として衰退している状況は否定できない。京大新聞についても、学内で満足な知名度を得られているかには疑問があり、SNSにおいては発信力という点で他の学生や教員、一般紙などに後塵を拝する状況も見受けられる。一方で、総長選考や寮問題など、学生新聞だからこそ得られた情報や視点を駆使した取材に邁進することで、学内で一定程度求められている手応えが得られることもある。現代を記録する側面も有する新聞という媒体によって、現代の学生の視点や活動をミクロな視点で取材・記録し、マスコミ的報道では見逃されやすい学内外の切実な声に向き合うことが今後も求められている。

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まとめ

本格的なまとめは次の記事で行う予定であるが、締めとして各大学新聞からの寄稿文を読んだ感想をつづらせてもらう。まず、大学新聞に限らず新聞媒体が現在苦しい状況におかれていることは共通認識としてよいだろう。若年層の新聞離れについて言及している大学新聞も多く、共通の課題として取り上げることができる。

その渦中でも各々の学生新聞団体は、現代社会の変遷の中で自らの位置づけを徐々に変化させながら、芯とする報道理念を突き通そうと活動している様子が伺えた。東京理科大学新聞会が指摘している点が特徴的であるが、学生新聞は「学生の声を代弁する報道機関」から「キャンパスライフを豊かにするための情報キュレーションメディア」へと変化しているという点は確かである。その上で、この変化は横へのシフトではなく、役割の広がりであるように捉えられるのではないか。キャンパスライフを豊かにするという役割は「学生の声を大学当局に届ける」という役割や、立命館大学新聞社が指摘しているような「世論形成」と矛盾するものではなく、それを包含するものである。このように、大学新聞は時代を経て新たな役割を獲得し続けていると言えるのではないだろうか。

また、各大学の紙媒体についての見解は興味深い。ここにあげたすべての大学新聞は新聞のみの発行ではなく、SNSやウェブ媒体を併用または、主戦場として活動を行っており、上述したように紙媒体の置かれる厳しい現状について認識している。その上で、各団体は大学新聞として活動していく上で紙媒体の必要性についても共通認識として共有されている事も事実である。

以上のことを総括すると、現在の「大学新聞」の現状が浮かび上がってくる。大学新聞は歴史の荒波の中で常に厳しい状態に置かれてきた。その中で運営体制の変革やSNS、ウェブサイトの開設、大学内での新たな役割の獲得などにより、その環境に適応し進化し続けている。アンリ・ベルクソンの言葉には、「to exist is to change,to change is to mature,to mature is to go on creating oneself endlessly.(生きることは変化することであり、変化することは成熟することであり、成熟することは自分自身を創造し続けることである)」とあるが、この言葉は現在の学生新聞にそのまま当てはまるのではないか。現在生き残っている大学新聞は、自らの大学新聞としての芯を守りながら、厳しい環境に晒され続けながら変化し、成熟し、自己を創り続けた大学新聞であるという感想が、本企画を通じて感じた印象である。

最後に、学業や執筆活動などで忙しい中、本企画に協力し、寄稿してくださった各大学新聞の関係者に感謝申し上げる。


お詫び
 北大新聞側の作業遅れにより、連絡をいただき寄稿文をお寄せになった大学様の文章が掲載されていませんことにつきまして深くお詫び申し上げます。
北海道大学新聞編集部 吉村千宏


(寄稿文(敬称略):東北学院大学新聞会、東北大学学友会報道部、筑波大学新聞編集部、拓殖大学新聞部、上智大学新聞編集局、一橋新聞部、東京都市大学新聞会、東京経済大学新聞会、東京理科大学新聞会、中央大学新聞学会、近畿大学新聞会、立命館大学新聞社、京都大学新聞社 執筆:山口、吉村)