150年の歴史を白球でつなぐ 北海道プロ・アマ交流戦で北大生が躍動
8月14日午後6時。屋根が開いたエスコンフィールドHOKKAIDO(以下、エスコン)に、ボールがミットに収まる乾いた音と、選手たちの掛け声が響く。打席に立つのは、道内の社会人・学生野球を代表する選手たち。対するは、北海道日本ハムファイターズ(以下、日本ハム)のファーム(2軍)選手である。

2回開始直後のエスコンの様子
この日行われたのは、北海道大学創基150周年記念事業の一環である「北海道プロ・アマ交流戦」。北海道社会人・学生選抜(以下、選抜チーム)が日本ハムのファーム選手と対戦した。北大からは、硬式野球部の髙橋建杜(けんと)外野手(医学部4年)と太田和佳(のどか)マネージャー(教育学部4年)が参加。創基150周年を迎えた節目の日に、プロ野球の本拠地で北大生が躍動した。
野球と北大、150年のつながり
北大の前身である札幌農学校は、試合当日のちょうど150年前、1876年8月14日に開校した。そして、その翌年に米国人教師のウィリアム・ペンハローがバットとボールを持参して学生たちに野球を教えたことが、北海道の野球の始まりとされる。道内で最も早く野球が行われた場所こそが同校の演武場(現・札幌時計台)であり、北大と野球の縁は深い。
そうした北大と野球の深い関わりを背景に、2008年から続く北海道プロ・アマ交流戦が北大創基150周年記念事業として開催された。同交流戦はコロナ禍による中断などを挟みながら道内各地の球場で開催され、2024年からはエスコンフィールドに舞台を移している。
北海道野球協議会事務局長の柴田邦弘さんによると、試合日が開校記念日と同じ8月14日になったのは偶然だったといい、「とても驚いた」と振り返る。「北海道で最初に野球をした北大が、150年目にエスコンで試合をすることには、やはり意義がある」と語り、「アマチュア野球ファンだけでなく、プロ野球ファンも注目する一戦にしたい」と意気込んだ。
150周年を祝う一投
始球式には、宝金清博総長が登板した。
試合前に取材に応じた宝金総長は「150周年の記念として、このような試合を設けていただいたことにすごく感謝している。北大の選手にも出場のチャンスがあったら嬉しい」と話した。 自身が臨む始球式については、「エスコンで投げるのは初めてなのでとても光栄」と笑顔を見せる。練習は「全然していない」と明かしつつも、「精一杯やらせてもらいたい」と意気込んでいた。

試合前に投球練習を行う宝金総長
始球式本番、宝金総長が山なりの球をキャッチャーミットへまっすぐ投じた。スタンドが拍手に包まれると、18時、試合は幕を開けた。

宝金総長の投じた球がキャッチャーミットに収まり、日本ハムのマスコットキャラクター「C☆B」がストライクのポーズをとる様子
1点を追う選抜チーム、4回から反撃
試合は2回、日本ハムが1点を先制する。追う選抜チームは4回、石川楓雅選手(JR北海道硬式野球クラブ)のタイムリーで同点に追いついた。
6回には、日本ハムの守備の乱れに乗じて勝ち越しに成功。さらに9回、安田大将(だいすけ)選手(北海道ガス)がホームランを放ち、リードを2点に広げる。選抜チーム投手陣も日本ハム打線を抑え、3-1で試合を締めくくった。
近年の交流戦では引き分けや敗戦が続いていた選抜チーム。序盤に先制を許したものの、試合中盤から逆転し、勝利をつかんだ。

試合後、ハイタッチで喜びを分かち合う選抜チーム
「結果で示せてよかった」
北大から選出された髙橋選手も、8回、代打で与えられた打席で二塁打を放った。

ヒットを放ち一塁を回る髙橋選手と、沸き立つスタンド
「一塁を回るころに『打ててよかった』と実感が湧いた」と振り返る髙橋選手。球場には両親の他、北大野球部の同期や後輩も応援に訪れていた。「見に来てくれた人たちに、ひとつ結果で示せてよかった」と笑顔を見せた。
ベンチでスコアをつけていた太田マネージャーも、同じ部で活動してきた髙橋選手の一打を喜んだ。「長く怪我に苦しんでいたので、誰よりも近くで結果を出す瞬間を見ることができたのが嬉しかった」と語る。試合後には「アマチュアの負けや引き分けが続いていた中で、今年勝つことができて、すごく嬉しかった」とチームの勝利を喜んだ。

選抜チームのスコアリングなどを務めた太田マネージャー(左)と8回に二塁打を放った髙橋選手(右)
交流戦の翌日からは、北大野球部として秋季リーグ戦に出場する。太田マネージャーは「本気で一部リーグへ昇格できるように頑張っていきたい」と、次の戦いを見据えた。
※宝金清博総長の「宝」は正式には旧字体
(取材・執筆・撮影:赤松)
