「NoMaps」公認を目指して AIを活用したアプリ開発の裏側に迫る
北海道大学AIサークル(以下、AIサークル)は 今年2月に設立されたサークルである。代表の深澤ヒロイさん(工学部4年)が、「AI(人工知能)を口実に、やりたいことを本気で形にできる仲間の場」が地域にないと感じたことが設立のきっかけとなった。サークルには43人が所属しており、「”やりたい”ことを、誰かの”価値”に」をサークルの合言葉にしている。現在は、毎週水曜日に開催されるAI活用の勉強会を通じて、AIという道具の魅力を広めつつ、それぞれのAIリテラシーを向上させることに取り組んでいる。

AIサークルは、9月23日から27日にかけて札幌市で開催される「NoMaps2026」の「students」カテゴリに参加する。「NoMaps」とは2016年から毎年札幌市内で行われているコンベンションだ。北海道を舞台に、新たな価値の創造に励む人々が交流する場となっている。
現在、AIサークルはNoMapsのイベント当日に参加者が会場で利用することが可能な、イベントを最大限に楽しむためのアプリを開発している。アプリの出来次第では「NoMaps」から公認をもらうことができるため、より高いクオリティを求めているそうだ。今回は、現在のアプリ開発の状況について太田哲惺(てっせい)さん(農学部2年)と小野寺奏水(そうし)さん(工学部2年)に話を聞いた。
アプリの開発に向けて本格的に動き出したのは6月上旬。過去の参加者へのヒアリングから始め、求められる機能を分析し、サークル内で案を出し合った。ここからの開発プロセスは非常に驚きである。太田さんは「案をAIに与えれば、たった1〜2時間で大まかなアプリが生成される」と語る。「アプリのコードはもはやAIが書いてくれる時代になっている」と小野寺さん。最初に生成されたアプリはまだまだ粗削りな状態であるため、人の手による修正は不可欠だ。しかし、修正の時間を含めても完成まで3時間程度しかかからないそうだ。考えを短時間で形にできるということがAIの最大の強みだろう。
「MyMaps」 という名のこのアプリには多くの機能が備わっている。1つ目は一人ひとりに合わせた企画の提案である。利用者が自身の属性を選び、気になるタグをいくつか選択すると、その条件に合った企画がおすすめされる。(画像1、画像2)

2つ目はイベントの場所、時間の表示である。自分の位置とイベント会場の場所が分かるマップの表示に加え、参加予定のイベントの開始時間が整理されている。(画像3、画像4)

AIを使えば短時間でこのような完成度が高いものを作成できるということを聞いて、楽な作業に感じる人もいるかもしれない。だが、苦労している部分もあるという。小野寺さんは「すぐに作成できるという点には不便な部分もある」と話す。AIを使用すれば、短時間で作品を作ることができる一方、「AIらしい」ありきたりなデザインになってしまいがちだという。「AIを使い込めば使い込むほど実際の人と話してアイデアを考えることの大切さを感じている」そうだ。
一方で、「活動に面白さを感じることも多くある」と2人は語る。太田さんは、「AIを使うことによって、自分が想像したことを具体的に形にすることはとても面白い」と語る。小野寺さんは「AIについて議論を深めていく中で、AIの新たな可能性に気づくことに面白さを感じている」と話した。
最後に、今後のサークルの展望について語ってもらった。太田さんは、「AIはあくまで1つの手段にすぎないので、最初に自分で考えるプロセスを大切にできる人材の増加を目指したい」と話した。小野寺さんは「AIの正しい活用法をもっと多くの人に伝えることで、大学生の中にも存在しているであろう『AIはズルの道具』という固定概念を壊したい」と語った。
AIサークルはAIに関する知識の有無、文系理系問わず、メンバーを募集している。自分の作業を効率化したい、新しいことに挑戦したいと考えている人は、ぜひ一度勉強会に参加してみてはどうだろうか。
(取材・執筆:和田 写真提供:北海道大学AIサークル)
